不細工な方の伊東秀章
@J0hnLee
第1話 落ち込むなブサイクだっていいじゃない
私の主人の名前は伊東秀章。
そう、映画『山猿』のイケメン俳優、伊東秀章と同姓同名だ。
主人は初対面の人には
「不細工な方の伊東秀章です」
と挨拶する。
以前、私は
「"男前やない方"の伊東秀章よりも"不細工な方"の伊東秀章と言った方が受けるよ」
と助言した。
「なるほど」
と不細工な方の伊東秀章は納得した。
それが効奏し初対面の人の笑顔をゲットしている。
「あなたの方が年上だから『山猿』の伊東秀章が真似したんですよね~としかわれない」
と彼は不服そうに言う。
「いいじゃないウケけたのなら」
と私が答えると
「あなたの方が『山猿』より男前ですよと言って欲しい」
と無茶を言う夫。
そんな輪廻転生しても無理な事を真顔で言う夫が滑稽で私はこらえきれず吹き出した。
「何笑ってんだよ~」
「だって街頭インタビューで100人に聞いたって100対0で山猿の伊東秀章の方が男前って言うわよ」
「一人くらい僕が男前って言うよ」
「自分の顔をじっくり見たことある?」
「あるよ」
「イケてると思う?」
「たまにある」
「ハッハッハッ、たまにでもあるの?おかしいクックックッ」
主人は黙り込んでしまった。
ちょっと言い過ぎたと反省する私。
「男は顔じゃない、心だ。落ち込むな不細工な方の伊東秀章君」
「よけい落ち込むわ!」
「私は不細工な方の伊東秀章が好きだよ。だって歯が出てるもん。昔っから出っ歯の人が
好きなのよ」
「ありがとう」
私と主人は鍼灸院を経営している。
主人が鍼灸治療を行い、私が受付と会計も含めて専務として働いている。
予約の電話がかかってきたら受け付けるのは私だ。
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