『あなた』に メリークリスマス

錦 鈴蘭

あなたに メリークリスマス

偽りの光が溢れている街を

 あてもなく彷徨い歩く

冷え切った 思いが残る部屋に

 帰り着くのが怖くて

もし、漆黒の空から純白の雪が舞い降りたら

 偽りの光に染まってしまうのでしょうか


聖なる夜にうかれている街で

 じっと 爪先だけを見つめてる

熱にうかれた うわべだけの微笑が

 見えてしまうのが辛くて

もし、天上の星から『あなた』が 降りてこれるのなら

 微笑みを向けてくれるでしょうか


うたかたの夢がこの街に訪れるのなら

 『あなた』に

  会いたい

影だけでもいいから みせて

たとえ、ショーウィンドウに映る世界の中であっても

微かな囁きでもいいから きかせて

たとえ、クラクション渦巻く喧騒の中であっても


微かな鈴の音に包まれる街なら

 奇跡が訪れるとを 切に願って

幼い頃には信じていたのに

 噓だと知って いい子をやめたの

もし、今からでも 祈りを捧げるならば

 こんな私のお願いでも 聞いてくださいますか

もし、今となっても 空をかける橇があるなら

 モミの木の下に届けてくれるでしょうか


聖なる夜の 儚い思いを

『あなた』に メリークリスマス

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