第2話 実績が支える自信

失敗が続くと、自分の価値がわからなくなる。何をやっても中途半端だと感じ、周りの人たちの方がずっと優れているように見えてしまう。そんな時、私はいつも「これまで自分は何をやってきたのか」と振り返るようにしている。


私が通っている就労継続支援B型事業所では、毎日いろいろな作業をこなしている。最初は小さな作業一つでも手間取ってばかりだったけれど、続けていくうちに、少しずつコツをつかみ、早く正確にできるようになった。それが自分の実績だとは最初、気づかなかった。


ある日、職員さんにこう言われた。「あなたがこの作業を任されているのは、信頼されている証拠なんだよ。」その言葉が心に残った。「信頼」という言葉が、私の中に小さな灯火をともした気がした。自分が気づかないだけで、積み重ねてきたことは確かにあり、それを見てくれている人もいるのだとわかった。


それ以来、失敗したときはこれまでの実績を思い出すようにしている。失敗が私のすべてではない。これまで積み上げてきたものが、一つの失敗で崩れることなんて、ありえない。そう考えると、少しずつだけど心が軽くなるのだ。


自分の実績が支えになってくれる。それは、自分の過去が私にそっと「大丈夫だよ」とささやいてくれるようなものだ。失敗に目を奪われていた自分が、少しずつ前を向けるようになる。それが、実績が与えてくれる力だと思う。


私にはこれまで頑張ってきた実績がある。そして、そこから次のステップに進む力もある。それを信じて、今日もまた一歩踏み出していこうと思う。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る