第4話 並列起動

『ゴブリン伝説』。

プレイヤーはゴブリン族の長となって、平和なモンスターの森を悪い敵達から守るために戦い、 ゴブリン達を育成しながら、最強のボスを倒す放置系ロールプレイングゲームである。


『ゴブリン伝説』を起動すると、1匹の貧相なゴブリンが前に出現した。


そのゴブリンは弱々しい木のバットを持ってサイクロプスの方に走っていく。


俺にはとある画面が見えていた。

そこには《敵に与えたダメージ数》が表示されている。


「【攻撃力強化】」


これは敵に与えたダメージ分、このゴブリンステータスを上げられるのである。この


つまり、無限に強くなれるゴブリンが完成するってわけだ。

しかも、このゲームには【オート操作】がある。


オート操作にすることでステータスのレベル上げも自動で行ってくれるようになるので、大変楽だった。


そして俺は再び口を開く。


「【ゴブリン追加―ホムラ】」


すると赤色で火がついた棍棒を持ったガリガリのゴブリンが出てきた。


与ダメージ以外にももう1つポイントが貯まっていたのだ。


それは【ジュエル】というゲーム内通貨で、それを使って新しいゴブリンを召喚する事が出来る仕組みだ。


今召喚した【ホムラ】以外にもゴブリンはいるが、一番低コストだったのがこいつだった。


【ホムラ】はサイクロプスの上にに飛び、棍棒を上に振り上げた。


「ゴブゥ!!」


勢いよく振り下ろされた棍棒はサイクロプスの頭に直撃する。


「ヴゥッ……」


しかし、サイクロプスは痛みでよろけるも膝をつくことはなく、唸り声を上げていた。

まぁLvがまだ低いからHP削れてないのも無理もないよな……


でも、もうそろそろ俺の攻撃入るんじゃね?


『ゾゾサバイバー』のドローンαとβがHP削りまくってるし。


サイクロプス硬くて短剣じゃあ刃が通らないんだけど、弱ってる状態なら話は別だ。


だいぶ抵抗力も脆弱になってるからいけると思う。


そして俺は勢い良く踏み込んだ。


「ヴッ!?」


サイクロプスは困惑する。何せ、一瞬で目の前に俺が来たのだからら。(【スニーカーLv5】のお陰で移動速度が+50%にもなっている)


すかさず俺は短剣をサイクロプスの首に突き刺す。(【短剣Lv5】の影響で殺傷能力が+100%になっていた)


血しぶきが舞い、サイクロプスは倒れた。


―――――――――――――――

「大丈夫ですか?」


俺はさっきから口を開けて固まっている人の元に行った。


「こんなにスムーズに………」


「つい飛び出してしまったけど……大丈夫だった?」


「あ、ああ……助かった。ありがとう」


ホッと胸をなでおろす。


あれ以上飛び出すタイミングが遅かったら、この男性………あれ、獅子音リオン……じゃね?


「………獅子音リオン?」


やっべ、口に出てた。


「おう、俺は獅子音リオンだが………もしやケモナー?」


(ケモナーとは、獅子音リオンのリスナーの名称である。)


ちょっと待て、この人、有名ダンジョン配信者じゃないか! 


いつも見たことがありなダンジョンで活動していて、近場か?と疑っていたけれど、まさかここで会えるとは……!


「いってぇ……」


リオンが右拳をさする。

どうやら負傷しているようだ。


「これ飲みます?」


俺は回復薬が入ったポーションを差し出す。


「あ、ありがとう……助かるよ」


そしてリオンは瓶の中身全てを飲み干す。するとみるみる内に右拳の傷が、まるで最初から無かったかのように治っていく。


「えっ……まさか、フルポーション………?」


リオンは驚き再び口を開ける。


「よし。傷も治ったことだし、上に戻ろうか」

 

それから地上までは特に会話することもなく、俺は無事にリオンと出口まで歩いていった。


ソロ活動が長かったからか、緊張しすぎてあまり話せなかったな……


あっちの方も何か1人でブツブツ言ってたし、考え事でもしていたのだろうか。


まぁ、有名配信者を助けたところで俺の生活が変わる訳でもない。

結局同接続0は変わらないだろうな。


しかし、この時のみなとは知らなかった………というか頭中になかった。


獅子音リオンの配信がついていることを。


イレギュラーに遭遇し、掲示板やネットで大騒ぎになっていた影響で、彼の配信が同接100万人を突破していたことを知るのは少し先の話である。



♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦♢♦

ここまで読んでくださり、ありがとうございます!

少しでも楽しんでいただけた方は♡や☆、ブックマークを押してくれると作者は喜んで踊り出します(笑)


■一旦ここで主人公のスキルの長っならしい説明は区切らせていただきます


次からはスピーディーな話にするよう頑張ります!

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