第4話 鬼頭と悟くん
店のドアを出る時、鬼頭と行くことがずっと前から決まっていたことだと感じていた。
「名前は?」
「悟」
「明日は学校まで送っていく」
「行ってない」
短い会話を交わすと、鬼頭は、しばらく宙を見つめた後、立ち上がり、一台の最新式のパソコンと横に立っているロボットを指さして言った。
「これに勉強を教わるといい」
それが、コスモとの出会いだった。
鬼頭は留守なことが多かったので、昼はコスモと勉強して、夜はひとりでゲームしたり、漫画を読んだりしてやり過ごした。鬼頭の家には最新式のゲームや漫画、DVDがたくさんあって、映画館のような大画面で映画が見れた。コスモの教え方はとっても分かりやすくて、勉強が楽しかった。
そんな生活をして3カ月が経ち、行っていなかった学校の勉強の遅れも取り戻せた頃、
「手続きしてきた」
と、鬼頭が有名な私立小学校の資料や教科書、制服を床に並べて言った。不思議な顔で鬼頭を見つめている僕に、明日の予定を機械的に告げ、早く寝るように言うと、鬼頭は寝室に戻って行った。僕が転校できるような学校ではないはずなのに転校できたのは、除霊したことがある有名な企業の社長のコネと多額の寄付のおかげだったらしい。
僕が学校に行くようになってから、鬼頭は毎晩帰ってくるようになった。
その後、しばらく何もないまま時が過ぎ、その夜僕は家でのんびり映画を見ていた。この家には彼が作った強力な結界が張られていて、並の霊は入って来られないらしい。だから家にいる間は安心して過ごすことが出来た。
が、ある日、夜中に帰ってきた鬼頭が、突然倒れ込んだ。
その日は、僕の誕生日だった。
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