神に反逆した元天使。力を取り戻す為に、電脳世界でバーチャル天使として神になります！

第1話 プロローグ

　意識が薄れ、闇に溶けていく。

　天界の天使達全ての猛攻撃を受けた身体は、もはや指一本動かす事さえ難しい。

　その上で、神は自分の身体から、最後に残っていた力の一滴までもを搾り取っていった。

　結局、神に反逆するという大それた行為に手を染めた結果は、力を奪われた挙句、天界から追放されるという容赦ないものだ。

　それでも、決して後悔はしていない。

　かつての親友が、同じように神に反逆して魔界へ墜とされてしまったのを知った時から、心のどこかで覚悟をしていたのだ。自分もいつかああなるのだと。他の天使達との戦いで、全身を覆う自慢の赤い鱗は、傷つき、ボロボロになってしまっていた。

　人間を唆し、知恵を与えた事が罪だという。それの何がいけないのだろう？人は神の玩具ではない。彼らに自立する力を与えて、彼らの行く末を見守る事は何ら悪の行為ではないはずだ。それを咎められた事は、納得のいかない話である。

「……俺達は、何も間違っていないよなぁ？ル（・）シ（・）フ（・）ァ（・）ー（・）…」

　そう呟いて、真紅の竜の姿をした天使は、天界から地上へ落ちた。落ちた先にあったものは、一軒の普通の家。そして、何の変哲もないパソコンが一台。

　墜ちた天使は吸い寄せられるように、その中へ消えていった。

　これは、神に逆らった元天使が、やがて一部の界隈において神と呼ばれるようになるまでの物語である。