古めかしい板で……金魚鉢は蓋をされた

縞間かおる

第1話 クリスマスイヴの亡霊

 クリスマスイヴの亡霊に、寝た子を起こされたのか、節句よりも長い周期の夫が突然、求めて来た。


「ちょっと! 和希が勉強してるのよ!」


「だからアイツには部屋をあてがってやってんじゃねえか」

 言いながら夫は、私の髪をかき上げ、耳を噛む。


「夜食だって、出さなきゃ!」


「さっきチキンだのケーキだの、散々食べさせただろ!?」


「だから眠気覚ましも兼ねて、コーヒーとか出さなきゃいけないの」


 小6の子にこんなにカフェインを摂らせて良いのかと正直思う。 しかし今は受験まであと1か月余りの正念場、それなのに……


 腹立たしさが表に出ないよう夫を振り切り、寝室を出て夜食を用意し、和希の元へ向かう

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る