第6話 魔王

「俺は、昔……

 半分魔族って事が理由で、イジメにあっていたんだ……」


「それは、酷いわね……」


「半分魔族なんて、今は——そんなに珍しくも無いけどな……」


「子供の頃って、少し見た目が違うだけで標的になったりするのよ。残酷ね……」


「そうか……それで!? 

 お前は、魔王を倒すために自分を鍛えたのか……」


「ああ……。俺は、魔王を倒す為に——死にものぐるいで修行に明け暮れた。

 そして、強くなって——この街に戻って来たんだ——ッ!」


「それで、自分の力を試す為に——俺に挑んだって事か……?」


「ああ。お前を倒して、自信をつけて魔王に挑む為に……

 それに、出来れば魔王の戦力も削っておきたかったんだ……」


「それで!? お前は、魔王を倒して——その後は、どうするつもりなんだ?」


「そこまでは、考えてない。

 魔王に復讐を終えた後は……アイツに変わって、俺様が玉座にでも君臨してやろうかな……な〜〜〜んてね!」


「やっぱ、コイツ殺しておくべきだったか……

エリアル?」


「殺しちゃダメよ。

 てか、魔王を倒すって——目的は、私達の目的と一緒じゃない。

 だったら、戦うより! 協力した方が良いと思うんだけど……」


「何だよ! お前らも魔王に復讐するのが目的だったのか!? だったら、早く言ってくれてよ。てっきりアイツの仲間かと勘違いしちまったぜ——ッ!

 まぁ、アイツを殺したいくらいに憎んでる奴は多いからな……。

 子供の頃のアイツは、間違いなく悪魔だった……」


「子供の頃……? アンタいくつよ……」


「なんか……コイツの思ってる魔王と俺達が思ってる魔王って、少し違くないか?」


「ねぇ、フロック……コイツの子供の頃の記憶って、映せる?」


「エリアル、名案だ! 出来るぞ。見てみるか……オケラスキオラン……記憶の精霊よ。

 この者の記憶を映し出せ!!!」


 そうして、フロックはキバの記憶を映し出した。


「お……何だこれ!? 俺の子供の頃が映ってやがる」


「黙って、見て——!」


 幼き頃のキバは、ほとんど人間と変わらない容姿をしていた。


「何で!? この容姿で、イジメられるんだよ——普通の人と変わらないじゃ無いかッ!」


「全ては、魔王のせいだ!!!」


 そして、映像は——ある日の出来事を映し出していた。


 その日は、キバが数人に子供に捕まると……羽交締めにされて——ある人の元へと連れて行かれた。


「よぉ——ッ。お前がキバとか言う半分魔族のガキだな?」


「・・・・・・」


「おい、返事をしろ——ッ!」


 その太々しい声と態度の主は……



「あ……ボス! 『ボスね……』」


「そう言えば、子供の頃のボスの事を魔王と呼ぶ奴らもいたな……」


「俺らの世代は、アイツの事を皆んな魔王と呼んでいた……」


「とりあえず、続きを見ましょう」



「おい! お前ら、そいつを抑えてズボンを脱がせ——ッ! 俺様が、魔族のチ○コがどうなってるか確認してやる!」



「やめてくれーーー!!! これ以上、映さないでくれ——ッ!!!」


 キバが、恥ずかしさとトラウマで——暴れ出したので、一度——映像を止めると……


「そう言う事か……

 コイツ、俺の後輩と言う事だな……」


「そんな事よりも……子供の頃のリサ……ボスは、チ○コが本当に好きね……」


「やめて……くれ……」


「でも、キバ……こんな事、あの頃は——いつもの事じゃねーか?

 なんで、これでイジメられるようになるんだ?」


 すると、怯えていたキバが……口を開いた。


「実は……俺は、この頃からムケていたんだ。

 そしたら、魔王の奴が面白がって毎日のように自分の下部達を使って……俺の……を……毎日、毎日……眺めて………楽しんで……。

 だから、俺は——強くなってアイツに復讐をすると決意したんだ!

 そして、死に物狂いで修行をして——修行を終えて街に帰って来ると……

 アイツは……魔王は、下部を増やして冒険者ギルドに君臨していた。

 だから、俺は——まずは部下から削っていこうと思い。

 ギルドで、1番強いと噂されている。

 お前達を狙ったって訳だ!」


「……そう言う事なら、早く言ってくれ!

 俺も手を貸すぞ! キバ——!」


「何言ってんのよ! 無理よ。絶対無理——ッ! 血迷った事は、やめなさい」


「お前らも……アイツに恨みがあるのか……?」


「ああ……これを見てくれ!」


 そして、フロックは——自分の記憶を投影した。





「あの……悪魔が……フロック先輩にも、こんな酷い事を……許せん!!!」


 そうして、2人は和解した後——ボスを倒すために、断固たる決意で——リサさんの元へと向かったが……

 彼女の前に立つと、子供の頃の記憶が蘇り足が空くんで……何も出来なかった。


 そして、2人は……もっともっと強くなる事を心に強く決意した。


「……アンタ達、情けないわね」


「「・・・・・・」」

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