第9話 龍神<2>

そう思うのも束の間、次の手が迫る。


龍双・交割りりゅうそう・マジわり!!!」


腕を交差させ、大きな斬撃を放つ天僧、これもなんとか避けられたが顔をかすめた。

血が溢れ出る。こんな怪我は初めてだ。でもここで、あの時のことを思い出す。


(神楽が助けてくれたあの日...もし神楽がいなかったら...)


そう思うと、この程度でビビってられないと自分を奮い立たせる。


「うおおぉぉぉぉ!」


叫びながら、とにかく発現させて能力を使わなければと思ったその時、体が異様に光りだす。


「こっ、これが…俺の妖術!」


自信に満ち溢れ、精一杯の力を出し切るために思い切り踏ん張る。


「うぉぉ!悪祓い・一天あくばらい・いってん!!!」


急に思い浮かんだ技名を叫びながら力を放つ。そうすると、まるで天を勝ち割るように手から真っ直ぐな光が伸びた。そうして天僧に勝つことが出来た。


「…やるじゃん、」


神楽が俺の元へ来てそう吐き捨てる。



これからが俺の物語だ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る