テレビ

起き上がる

第1話テレビ

一年前の今日、彼女は病気で先立ってしまった。


僕は、彼女が好きだった。


一緒に過ごしたワンルームの部屋。


彼女は、お笑い番組が大好きでゲラだった。


明日、僕はこの部屋を出る。


夜中まで、引っ越し準備をしていると部屋のインターホンが鳴った。


こんな夜中に誰だろう?と思っているといきなりテレビがついてお笑い番組が始まった。


彼女が好きな番組だった。


テレビの画面を眺めているとインターホンは鳴り止んだ。


それと同時にテレビも消えた。


次の日、朝早く警察が僕の部屋を訪ねて来た。


何でも隣の住人が刺されて重傷らしかった。


「夜中に、インターホンは鳴りましたか?」


「鳴りましたけど出ませんでした。」


「薬物を使用してた人間がお隣の人を包丁で刺しました。」


警察が、帰るとテレビのコードを調べてみた。


テレビのコードは外されていた。


僕は、彼女が守ってくれたと思い引っ越しを辞めた。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

テレビ 起き上がる @ken3130

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ

参加中のコンテスト・自主企画