三度目の転生は〖苗木〗でしたので、一度目の人生時の最強賢者へと再び至る為、初期スキル〖吸収〗で最強種へと返り咲こうと思います (カクヨムコン10短編応募中)

雷電

プロローグ そして、ギエナ・セフィロは最弱へと至る

 私の名前はギエナ・セフィロだ。

一度目の人生は賢者だった。

 それも世界に名を残す様な大賢者で、良く酔っ払った勢いで、国や大都市を滅亡寸前まで追いやっていた。


 そのせいか知らないが歴史的極悪人と呼ばれていて、私はその話を聞く度に夜な夜な泣いていた。


 私は少し、心が弱いのだろう。だが、その度に、地球とか言う世界から来た友人になぐさめられ、立ち直り、また酒を飲んで暴れていた。


 そして、最後には酔っ払った勢いで、どこかの崖から転落し頭をぶつけて呆気なく死んだ。


 私が死んだ後、全能の神は私の最後の死に方が坪にハマったのか大爆笑していた。


〖ガハハハハ!!酒に酔っぱらって?崖から落ちて死んだ? アホなのか貴様は! ガハハハハ!〗


(‥‥そうだ。だがこれで私は安心して逝け‥‥)


〖ひぃー‥‥久しぶりにこんなに笑わせてもらったぞ。その褒美に‥‥転生させてやりたいが。貴様はどうも生前の悪さが際立っておるから、ここはあの魔法世界の極悪神父の中にでも潜ませておいてやろう〗


(いや、私はもう静かに‥‥逝きたいだけだ)


〖何でも経験だ! 行ってこい!確か極悪神父が死んだら、表層世界へと出ていける筈だ。楽しんで来い〗


(‥‥いや待て、私は)ズズズ‥‥


 そして、私は全能の神によって、二度目の転生先。極悪神父の心の中へと潜む事になった。


〖????〗


(‥‥‥ただの苗木が‥‥‥良く喋る‥‥‥そろそろ変われ‥‥‥無価値な苗床よ‥‥‥)


「は? 変われだと? いったいさっきから【俺の中】で何が起きてやがる?」


(消え行く自我に価値は無し‥‥悪の苗木はここに‥‥●●●‥‥生える‥‥)


「アアアァァァ!!!止めろ!止めてくれ!意識が乗っ取られ、俺が俺、自身に殺されて‥‥いっく‥‥やっと入れ替わり‥‥‥‥消えてくれたか‥‥‥‥●●●君‥‥‥‥‥」


《‥‥‥‥‥この世界に介入するな。死ね》


 スパンッ!!!

‥‥‥‥ザザザ‥‥‥ザザ‥‥‥

「あー、せっかく来れたのに‥‥‥‥もう追い出されるのかい?」


 そして、その場に誰も居なくなり。静寂に包まれた。


‥‥‥‥‥‥あれは別の世界の者。この世界とは異なる異物。

世界が違う。

理が違う異物。

介入は許さない、許されない。

この世界の話に割り込めない者。


『苗木の異物』


‥‥‥そして、私の二度目の転生の人生は幕を一瞬で終わってしまった。



 三度目の転生は‥‥苗木になっていた。


 そう草だった。そして、一度目の人生で、できた地球の来訪者の友人が言っていた言葉を私は思い出す。


 《地球にはことわざで三度目の正直つうものがあるんだ。ギエナ! だから、お前も一回目や二回目が失敗したって諦めるなよ。三度目だ! 三度目で成功すれば人生勝ちだと思わないか?ギエナ》


‥‥かつての友の言葉が心に響く。


 《貴方をこの深緑界(トネリコ)の世界の一個体として確認しました。世界記憶(ワールドレコード)にアクセス。スキル【吸収】を取得しました》


(【吸収】?こんな使えるかも分からないスキルでどうしろと? それに身体が全く動かない)


 《一度目の最強を知り浮わついたか? 二度目は人の心を棄て死んだな? ならば三度目の転生は最初から最弱へと至り、絶望に浸れ、ギエナ・セフィロ‥‥それでは良い死に方を期待する》


 この世界の神が私に語りかけ、消えた‥‥


 これは私が再び人へと至る奇跡の物語。


 人の心を理解し、感化された善人にして、最強を取り戻していく物語だ。


◇◇◇

《種族・魔草》

スキル・〖吸収〗

◇◇◇

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