第11.5話 新黒須の夏祭り

毎年の夏に行われている、いわゆる恒例行事の夏祭り「新黒須駅前商店街~真夏のアツい祭典!~」にに来た。


なんで来たのかと言うと、いつもの如く小高くんから「一緒に新黒須の夏祭りに行こう!」と誘われたから来た。


「小高くん、あんまり祭り会場の中で、はしゃがないでよ?見失っちゃうから!」

小高くんが小さいってのもあるが、混雑しているお祭りの会場の中で小さい小高くんを見つけるのは、難しい。


「小高くん、手をつなごう?はぐれちゃうとお互い、困るから、ね!」

あくまで、小高くんと手をつなぐのであって、「小高くんと手をつなぎたい」という訳ではない。


約数か月ぶりくらいに、小高くんの手をギュッと握る。相変わらず、小高くん手はほんのり温かい。


わたがし、チョコバナナ、クレープ、たこ焼き、焼きそば、かき氷…

射的、輪投げ、金魚すくい、スーパーボールすくい…

いろいろな屋台が軒を連ねている。


「神崎さん、一緒に射的やろー!もし、僕が射的の景品をGETできたら神崎さんにあげるね!」

射的屋台のおっちゃんに1000円(1回500円)を渡して、獲得したい景品に狙いを定めて、真剣な顔つきになる小高くん。


「うぅ…外した!あと、もーちょいなのにー!」

小高くんの撃ったコルクは狙っている景品のスレスレを掠めたり、景品に当たってもわずかに揺れる程度と、どれも惜しい。

あ、私は下手くそ過ぎて、全部大外れでした。


「神崎さんの為に!絶対にこの景品を、GETするんだから!諦められないよ!」

射的に対して、熱くなる小高くんは2周目(1000円目)に突入。

小高くんのお小遣いがなくならないか、心配だったが、2周目の9発目で、狙っている景品をGET。


「はいこれ、神崎さん。約束通り、射的でGETした景品あげるね!」

サイズや重さの関係で、棚には空箱(中の緩衝材はある)として置いてあったのでよく分からなかったが、小高くんが射的でGETしてくれた景品…

「これ…「とある○●の天使たち」というテレビアニメに出てくる主人公のフィギュアじゃん!めちゃくちゃ嬉しい!ありがとう、小高くん!」

私が、テレビアニメ「とある○●の天使たち」の主人公キャラが「推し」なのを、小高くんがどうして知っていたのかは分からないが、嬉しさで興奮してしまい、気づいたらそんなことはどうでもよくなっていた。



その後、会場の外にある公園のベンチに座って、小高くんとふたりで夜空に上がる花火を眺めて、楽しんだ。


久しぶりの「新黒須駅前商店街の夏祭り」はすごく楽しくて、幸せな一日だった。





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