第2話 小高くんと帰る

「図書室の施錠せじょう完了!」

図書室のカギを返しに、職員室へと向かう。

「神崎、最後まで図書委員の仕事お疲れ様ー、カギ預かるよー」

と図書室のカギを職員室にいた先生に渡して、下駄箱でクツを履き替えているところに「小高くん」が現れる。


「あっ!神崎さん!もしかして、委員会のお仕事終わって、今帰り?また一緒に帰らない?」

また、小高くんからお誘いを受ける。ここ最近はいつも一緒に帰っている。逆に、これだけ頻繁に小高くんと一緒に帰っているのに、よく先生や他の生徒たちに気づかれないのか不思議になるくらい。


「ねえ?小高くん、いつも私と一緒に歩いて帰ってるけど、他のクラスの人とは一緒に帰ったりしないの?いつもクラスで仲良く喋っている木村くんとか星崎くんあたりとは、一緒に帰らないの?」

と訊くと

「あー木村と星崎?そういえば、なんか「このあと、予定があるから一緒に帰るのは出来ないんだー」とか言ってたな。それで一人ぼっち!」

まあ、木村くんや星崎くんにも、何か事情があって、やむなく断っているのかもしれない。


他に帰る人が居ないなら、それは仕方ない。それに、私も一人で帰るつもりだったし、話し相手がいることは素直にうれしい。


「私は、電車に乗って帰るから、新黒須駅までね?」


学校から新黒須駅までの道のりは、そこまで長いワケではないが、ちょっとした登り坂なので歩くと30分くらい掛かる。

雨や風が強い日なんかは、もっと所要時間がかかるので、たまに目的の電車を逃してしまうこともある。

まあ、そういった悪天候の日は危ないので、学校近くを通っている新黒須駅行の路線バスを利用している。


新黒須駅へ向かう道の歩道には、地域住民の人たちが管理している花壇が端に置いてあり、綺麗な花が咲いている。

一部の花壇には「私がこの花を育て、管理をしています!」と野菜の生産者さんのような立て札が設置されている。


「小高くん…ウチの高校の校長先生、高校の花壇も管理しつつ、この花壇でもお花を育てているよ…学校の業務の傍ら、花を育てるってすごいね…」


小さいプランターではあるが、校長先生が育てているお花は、色とりどりの花が咲いていて、本当に綺麗だった。

校内の花壇は、完全に校長先生の「趣味」でやっているものと思われるが、歩道の花壇は地域の人たちに「いつも我が校の生徒を見守っていただきありがとうございます」という感謝の意味も込めて、おこなっているのかなと思う。






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