第十三話『落下!! 拾得ブーツ』

 12月25日、12時を少し過ぎる頃。


 ちる備長炭。


 その周りには、バチバチと電撃が走っている。


 落下予想地点は……


 茶店サテンマゼンタの周囲、およそ半径1マイルの範囲。


 店の前の雪上で、趣味の太極拳たいきょくけんいそしんでいた茶店サテンのマスターが、上空の黒い柱の存在に気づく。


「なんだありゃあ! あんなのが落っこちたら、大惨事だぞ! なんとかしなくては! どうすれば……どうすれば……どうすれば……どうすればァアアアあああ!!!」


 上裸じょうらのマスターが、あたふたする。


「あ」


 💡ピカーン‼︎


ひらめいたぞ!」


 マスターは、指笛を鳴らす。

👴👌

\ピィイイイッ!/


 すると……


 🦌🦌🦌💨

 野生の宇宙鹿トナカイが三体。

 猛ダッシュで走ってきた。


「よーし、いい子だ。お前たち、あの黒いのを、反重力アンタイグラヴィティ能力で受け止めるんだ!」


 マスターがそう指示すると……


 🛜🛜🛜

 🦌🦌🦌

 野生の宇宙鹿トナカイの立派な角から、空間が歪むほどの圧倒的な何かが、波状に広がっていく。


 九・八メートル毎秒毎秒の重力加速度によって、スピードを増していくバチバチ木炭は……


 無事、受け止められた。


 が、ほっとしたのも束の間のこと。

 今度は……


  ||

  ⚪️ 

||

⚪️白い玉のようなもの。


    ⚡️🪵⚡️

🌲👴!! 🦌🦌🦌


「ん? あのひょう……やけにでかい気が」


 それは、雹ではない。


 風呂敷包プレゼントだ!


 それは一つ、二つ、三つと、針葉樹モミの森に降り注ごうとしている!


「まずい! あれが全部落っこちたら! 子供たちの夢が!」


 マスターは、さっきよりも甲高く、多い回数、指笛を鳴らす。


👴👌👌👌

\ピィピィピィイイイッ!!!/

 🦌🦌🦌🦌🦌🦌🦌🦌🦌🦌💨💨💨

 宇宙鹿トナカイの群れ。


「お前さんはあっち! 君はこっち! あ! ンタはそこぉッ!」

 マスターの、懸命な指揮。


 たくさんの風呂敷包プレゼントは、どうにかこうにか、おそらく全部、宇宙鹿トナカイ反重力アンタイグラヴィティ能力により、受け止め、回収された……


 ように思われた。

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