第2話 コミュ症は社会の波に飲まれる
ストワから合格通知が来てから一週間が経ち、親の許可を取るためにマネージャーが今日家に来ることになっていた。
一応ぼくは未成年だし、親の許可は必要だ。
事前に親にはもう話しているから、契約書を書くだけの状態ではあるものの、いざとなると緊張するな......
ピーンポーン
「は、はい!どうぞっす!」
「失礼致します」
とても綺麗な人だ、黒髪ストレートのミディアムヘアで眼鏡をつけていてスーツを着ている。
まさにキャリアウーマンというにふさわしい見た目をしている。
「あらあら〜、よくきてくれました〜。天城ユウの母です」
「Strayworks株式会社で、天城ユウさんのマネージャーを務めることになっております橘真央と申します。天城ユウさんがうちの会社に所属する許可をいただきにきました」
「もちろん大丈夫ですよ〜。それより、うちのユウはとってもとーってもコミュニケーションが苦手なんです」
「!?ちょっとお母さん!?」
「ユウは子供の時から、人と関わるのが苦手で、すぐお母さん、お母さんって私の後ろに隠れてて、今回、自分でオーディションを受けたって聞いて本当に嬉しかったんです」
「ユウさんから頂いたオーディション動画を見て、私たちも感銘を受けました。とても、変わりたいって意思が強く感じられました」
「これからユウをよろしくお願いします」
お母さんがこんなにもぼくのことを思ってくれていたなんて、お母さんのためにも頑張ろう!
「では、ユウさんこれからよろしくお願いしますね」
「は、はい!よろしくお願いしますっす!」
真央さんは契約書を持って会社に戻って行った。
♦︎
「おはよー」
「おはー」
クラス中で挨拶が飛び交う中、ぼくは机にうつ伏せになりアミさんの音楽を聴いていた。
「天城さん」
「ひゃ!?ひゃい!」
「ごめん、驚かせちゃった?今日までのプリント回収したくて」
「あ、これ......っす」
「ありがと!」
こ、これが陽キャか〜、こんなコミュ症陰キャにも、平等に話しかけてくれる。めっちゃキラキラしてる〜泣
それよりも今週末、オンライン上で同期の顔合わせがあるのが、いちばんのストレスだし...
そんなことを考えてると、1日の授業が終わった。
「ふーやっと終わった。帰ろ〜」
「あ!天城さん!」
「は、はい!?どうしたっすか?」
「今日みんなでカラオケ行こうって話になってるんだけど天城さんも来ないかな?」
「え、えーと」
そんな、クラスでカラオケなんてハードルが高いことそんなすぐにはできない......でも、断ったら嫌われちゃうかも......
「あ、もしかして予定あった?無理して誘ってごめんね」
「い、いや、こちらこそごめんっす」
陽キャに気を遣わせちゃった〜
まぁ別に元からそんなパーリーピーポーなところに行けるとは思ってませんでしたけど。
ちょっと後悔しながら家に帰りスマホを見ると橘さんから通知が来ていた。
【Discord】
17:02|橘真央
今週末の二期生顔合わせの準備は大丈夫でしょうか?事前に送らせていただいたVtuberの資料に目を通しておいてください
17:30|猫ノ宮カフェ
了解です
資料に目を通してわかったことだけど、ぼくは猫ノ宮ユノという名前で活動していくらしい。
イラストに猫耳もついてるし、可愛いな.......
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