憧れのイベントへ出展した時の話 -2-

 点字の同人誌名は「点と文 ~散文と詩、文学の可能性を込めて~」という。このタイトルは有償で、プロとして活躍しているコピーライターさんに依頼してつけて頂いた。現在、8号まで発行した。9号を作ろうとして、相次ぐ値上げに断念している状態だ。点字が読めなくても、点字で何が書かれてあるのかを分かる工夫をしている。


 それは、活字の日本語「ひらがな」の上に、同じ意味の点字を配置しているといった具合だ。毎回、配置を変えるやり方で印刷をしてもらっていた。微調整である。

 しかもそれを健常者だけが働く会社ではなく、障がい者のお仕事になるという会社に依頼していた。いわゆる障がい者就労継続支援B型事業所と呼ばれる福祉会社に。たくさんの障がい者のお仕事の一つとなって、点字の同人誌は世の中に存在している。


 さて、文学フリマ 福岡。第2回目だったと思う。初参加した時のことを少し話そうと思う。一般参加だった。つまり来場者として、行ってみた感が強かった。雰囲気は他の同人誌即売会よりかは上品な空間で良かったことを覚えている。そのことが印象深く残っていたから、次は出展側として参加しようと決めたのだった。


 出展側として初参加の時には、ルールにはない事を同じ出展側の参加者からされた。いわゆる「購入強要」をされたのだった。つまりは「あなたの同人誌を2冊買うから、こちらのも2冊買ってくれないか」というやつだ。これには驚いた。こういうこともあるのか、と初体験で、これが常識なのか、と思った。少し嫌な気分がした。だから人見知りの私が、ありたっけの勇気を振り絞って、文学フリマ福岡のスタッフに相談してみた。この一件は結果的に「通報」という形になった。この行為はルール違反だったのだ。


 次からは気をつけようと思い、翌年も出展側で参加した。スタッフさんたちは覚えていてくれていて、なにかと気遣ってくれた。ありがとうございます。楽しくイベントを運営する姿に憧れて、いつしか私も文学フリマ福岡のスタッフになりたいと思っていた。


 またもや勇気を出して打診してみた。結果的に、手伝えることはなかった。当時も現在も無職の私には敷居が高すぎて、スタッフにはなれなかったが、応援は出来る。このエッセイをしたためるのも、応援の一部だ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る