私のこと、もう一回だけ愛してよ

竹垂雫

プロローグ






 ―――ワタシはアナタを愛してる。




 ―――愛しくて、愛しくて、仕方がない。




 ―――でも、キミの負担にならないようにしないといけない。




 ―――だからワタシは重すぎない様、気を付ける。




 ―――でも、本当のワタシを愛して欲しかったから、時々本当の感情も見せていた。




 ―――彼も、ワタシを愛してくれていたと思う。




 ―――なのに、彼はいなくなってしまった。




 ―――もう二度と逢えないだろう。




 ―――でも、キミ以外の誰を好きになれるというのだ。




 ―――いや、キミ以外を好きになることなんて出来ない。




 ―――ワタシ、これからどーしようかな? どうするべきなのかな?




 ―――教えてよ、いつもみたいにさ。








♢♢♢







 彼氏が自殺した。




 そう聞いたとき、真っ先に考えたことは―――いや、なにも考えてないか。


 確か、思考停止したんだったと思う。


 なーんにも理解出来なかった。


 あのあと、ワタシなにしたんだっけ。




「ま、今更どうでもいいか」




 どうせもう直ぐ全部終わるのだから。



 ワタシは、飛び降りようと身を乗り出す。


 しかし、視界に映る車を見て迷いが生じる。


 ワタシは、改めて歩道橋の上から道路を走行する車を見下ろす。


 今日、ワタシはここから飛び降りて終わらせるつもりだった。


 でも、ここでワタシが飛び降りたら目撃した人たちはどう思うだろうか?



 ―――電車の人身事故では、運転士が止むことが多いと聞いた。強烈なトラウマを残すからだそうだ。



 もし、ワタシが飛び降りたら。


 ワタシを轢いた車に子供が乗っていたら。




 少し逡巡したワタシは―――




「まあ、深夜にやればいっか」




 そう考えて、歩道橋を降りる。




 そう言えば、今日は親友カップルの記念日だった筈だ。


 終わらせる前に、二人を祝っておこう。それからでも―――




 ワタシはスマホを取り出して親友に電話をかけるのだった。







―――――――――

 主人公の名前は板東ばんどう 美来みくです。

 また、美来は大学生ですが彼氏くんは高卒で働いていました。

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