一閃

第1話

眠れぬまま 夜を越えた

街はまだ眠ってるかのように

しんとしている

昨夜は爆音で流れてたクリスマス ソングも

ばか騒ぎの喧騒も 甘ったるい会話も

聞こえない

いつも通りにカラスが残飯をあさっている

空には朝焼けに白い残月

いつもの朝に ホッとしてる


「優しい人」と言ってほしいとか

「嫌い」と言われたくないとか

「聖夜に独りはないな」とか

そんなことに疲れてしまったのかな

心がキュッと苦しいんだ

いつの頃からか 心に無理をさせていたんだね

気がついていたけど

気づかぬふりをしていた

だけど…

心に無理をさせるのは

もう やめようかな

今より 淋しい時になるかもしれない

今より 退屈な時になるかもしれない

でも…

心が自由であるために

大切な人を もっと大切に想うために

いつか 腹の底から笑うために

今は 少し泣いてみるよ


眠れぬ夜を越えた 人たちへ

大切な人へ

少し遅くなったけど

やっと言える


「メリークリスマス」

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一閃 @tdngai1

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