あつい
岳者
俺は?
よくも、俺をコケにしてくれたな!
助けてほしいが声が出ない…。それでも俺は生きている。
なぜ、俺は何にも思い出せないのだろうか。
ただ、一つだけは覚えている"あつい"。
今は7月の真っ只中、湿気が50%以上はあるだろうと思いつつ中・高生くらいの人がゲラゲラ笑いながら歩いているが見えた。その人たちの話を盗み聞きをする事にした。
A「おいおい、聞いたか?先週の殺人事件のこ
と」
B「なんだよ、そんな物騒な話知らないな」
A「なんだよ、お前しらないの?」
B「ニュースとかあんま見ないからさ」
A「この、事件は宗教絡みらしいぜ
しかも、俺たちの住んでいるE市のE海岸
であったらしいぞ。その上、死体は焼かれ
て見つかっていないんだってよ頼りにな
のは被害者の血痕だけらしい」
B「宗教絡みかめんどくさいよな…。どんな宗
教なんだろな。」
A「その、宗教は生まれ変わりについての感じ
だったような。」
その、2人は俺のことなんか気にしないで悠々と去って行った。
その後、上から水が降ってきたのだ。雨だ。
通りすがりの人に話しかける。
「今何時ですか?」OLに話しかけた返ってきたのは「やばい遅刻しちゃう!」と言われたのだ。次に傘をさして本を持っているおばさんが誰かの家へと入って行く。家主と話しているのだろうか。聞き耳を立てる事にした。
家主の声が小さくて聞こえない。
だけどおばさんの声は聞こえる。「私たちの勘園十老様の宗教に入ると記憶を持ったまま生まれ変わりができます!」と聞こえた。ただの宗教勧誘かよと思った。
だけど、頭に何かがよぎった『勘園十老』という言葉を…。
自分の家にも一回だけ宗教勧誘が来たのだ。そして、遊び半分で入ったのだ。入ってからは宗教の出費だらけだったのでやめようとしたんだ。そしたら、殴られて…。最期に聞いた言葉は「勘園十老様からの恵が貰えます」とか言ってた。そして、俺が焼かれていたとしたら殺人事件は俺の事を言っていたのか?点と点が線になっていく感覚を初めて感じた。そして、灰や骨粉にされて土に埋められて、アイツらからコケにされたのか。
淡々と考えているうちに雨が止んで日が出てきたのだ。コケにとっては日差しは天敵なのである。そして、何も出来ないまま自分は二度目の死を味わう事になるんだなと考えた。
次に生まれ変わる時には人間にして欲しいな、勘園十老様どうかお助けください。
あつい 岳者 @rimoKON14
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