何もかもが不可解
天川裕司
何もかもが不可解
タイトル:何もかもが不可解
(帰路)
「うんわかった、じゃあとでね〜」
その日は残業で、かなり遅くなった。
「早く急いで帰らないと」
今日は身内が家に来てくれることになっていた。
合鍵を渡してあるので、早く着いたら
先に部屋に入って待ってくれてる事だろう。
そしていつものように電車に飛び乗り、
遅かったのもあってか車両はガラ空きで
「よしよし♪」とか思いながら、
ラッキー♪とシートに座る。
座ってからやっぱり眠気がやってきてウトウト。
私は瞬間、夢を見た。
幾つ目かの駅で電車が停車した時、
車両に乗ってきた男の人が居り、
その人が私の隣に座った。
そこでハッと目が覚めた。
ぱっと左隣を見る。誰も居ない。
「…(笑)…夢見てたのか」
そしてもう1度ウトウトし始めて又寝た。
でも次の瞬間起きたら、
「え?」左隣に男の人が座って居る。
「……隣の車両からでも来たのかな」
そんなことを思いながらも体裁を繕い、
腕組みしながら私は又目を閉じる。
そして知らない間に又寝ていたようだ。
そして又目が覚めた。
左隣には誰も座ってない。
「降りたのかな?それとも別の車両に…?」
と思った時ふと冷静に返り、
有り得ない事に気づいた。
私はいつも快速特急で自宅の最寄り駅に帰る。
つまり私が乗った駅から下車する駅まで
ひと駅も停まらないノンストップなのだ。
だからまず途中で持ってくる事は無い。
それから車両。
他の席がこんなに空いてるのに
わざわざ私の隣に座ってくるなんて
普通に考えて変。
ストーカーや変質者の類ならともかく、
そんな気配は無かったみたい。
それにわざわざ車両を乗り換えて、
又別の車両へ行くと言うのもおかしい。
それらを冷静に考えてみた時、
やっぱり有り得ない事の様に思えた。
そして私は寝るのをやめ、
シートから立ち上がり、
ドア側へ行って手すりを持ち
降りる駅まで立って居ることにした。
その時である。
何か強烈な視線を感じ、
その感じる方へ目をやると…
「…?!」
ほんとにギクっとした。
ちょうど車両の繋ぎ目の所に男の人が立って居り、
棒立ちで、
じっとこちらを睨むようにして立って居たのだ。
目を合わせちゃいけないと私はすぐ顔を背け、
降りる駅まで我慢。
そしてやっと到着し、すぐに飛び降り帰路へ。
(家までの道)
「はぁ〜〜何なのよあの人は!」
もう忘れる事にしてとっとと帰ってると、
私の携帯に着信が。
画面を見ると私の家の電話番号。
「あ、佳奈子、もう来てくれたんだ♪」
やっぱり身内の方が先に着いて
部屋の中にもう入ってくれてるんだと思い、
電話に出た。
「もしもし〜」
でも一向に何も喋ってこない。
そのうちブツブツッ…ブツッ!…
とノイズのようなものが聞こえ始め、
「ん?」と思って画面を見ると、
何か暗闇と、
端の方に僅かな光がうごめいている。
「………」
さっきの電車での事もあり恐怖もあったが、
その画面の内容がわかった。
「…これ、動画だ…」と思った直後、
「うわっ」
急にミーちゃんの顔が大写しにアップ。
私の飼い猫。
部屋で待ってるはずのミーちゃん。
でもミーちゃんはそれからさっと体の向きを変え、
向こうに走って行った。
「…誰か、居る……?」
そこで、プッ…プープー…と電話が切れた。
「………」
私は立ち止まり、
静かにその携帯の画面を見ながら考えた。
固定電話で、なんで動画?
すると又電話が鳴った。
佳奈子の携帯番号。
佳奈子「あ、サユリ?ごめんね〜、今日ちょっと外せない用事できちゃってさぁ、明日行くからね」
私はさっき電車で見た、
あの男のことを考えて居た。
動画はこちら(^^♪
https://www.youtube.com/watch?v=TF_AeQ6z0L4
何もかもが不可解 天川裕司 @tenkawayuji
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ネクスト掲載小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます