第2話 欠陥姫の幽閉生活
ティアナ・カティ・セラフィーネ。
通称【欠陥皇女】。
神から職を与えられなかった、セラフィーネ皇国の無能な姫君。
それが、今世の僕だ。
この世界では五歳になると教会でステータスを確認する。
このカラミテス大陸ではステータスが全てで、公式的な僕のステータスは【メインとサブで前代未聞の無職】【魔力属性不明】【HP及びMP共に一〇以下】【才能有無を含め不明】【特殊スキルは人々を惑わす魅了と呪われし不老不死のスキル】となっている。
歳を取らなくて周囲を惑わす無才の姫…
誰かに利用でもされたら国家が傾く可能性も否めない。
そんな僕は教会に行った日以来、南部に在る皇族専用の別荘にて幽閉されている。
教会に行ったあの日、僕は昔の〝僕〟について思い出した。
〝日本〟の〝高校生〟だったこと。
諸々を思い出した。
そして、僕は鑑定板に写ったステータスを神官達や両親が確認した後、ココに幽閉された。
現在の年齢は一〇歳。
この別荘には使用人も誰も居ない。
理由は僕が持つパッシブスキル【魅了】にあてられて、反乱等が起こることを危惧してのことだ。
食材は週に一度、王都から送られてくる。
ココに来る時、父である国王から街や外に出る事を禁止された。
これも先程と同じく魅了のスキルに領民があてられると色々と面倒だから、というのと王族の証である金髪を見られと少々と厄介だからだと言われた。
正直、ココから出られないことに最初は不満を抱いていた。
人とも会えないし、話せない。
何かをやる気力もなかった。
けれど、僕はこの別荘に来て約半年後に〝秘密の地下室〟を見つけたのだ。
そこには王宮を凌ぐ程の量の本が有った。
魔法・体術・剣術・鞭術・弓術・薬草学・社交術・交渉術等、色々なジャンルの本があった。
地下室は地上の部屋よりも広く、魔法で亜空間になっているようだった。
それから、僕は地下室に籠るようになった。
幸いにも僕は家事全般が得意だった。
前世では女子力男子と言われたりもしていた。
女子力が高いことに対して文句を言う輩にはお菓子を口に突っ込めば、皆何も言わなくなった。
僕は別荘にある大きめの空部屋を一つ鍛錬用の部屋に改造し、本で見た武術や魔法を試しまくった。
今では、地下の蔵書の殆どを読み尽くした。
この身体は魔法を使っても何故か魔力が消費された感じはしないうえ、体術などを実戦しても全く疲れない。
『この世界の人ってタフなんだなー』
と思った。
僕はとにかく読んで、実践し、また読んでを繰り返した。
そんなある日、僕は今までに見た事のない真新しい本を見つけた。
その本はまるで光り輝いているように見えた。
僕は本を手に取り、題名を無意識に口にした。
「〝勇者と精霊の国〟…」
その話は、古い御伽噺だった。
昔むかし、とある子供がおりました。
子供は冒険をすることが大好きでした。
街を練り歩き、森を探検し、まだ見ぬワクワクを探すことが好きでした。
子供はある日、湖へと行きました。
その湖は子供が近寄ると、瞬き一つする間に眩く光りだしました。
子供は、不思議な湖に興味を持ちその水に触れました。
水からは少女の声が聞こえました。
〖お願い…助けて!国を、どうか…!! 〗
僕は驚いた。
本を読んでいると、声が聞こえた。
この本の子供が聞いた言葉と全く同じ言葉だ。
『何処から聞こえるんだ…?』
僕が戸惑っていると、本が一等眩く辺りを包み込むように光り輝いた。
僕は反射的に目を瞑った。
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