Zenith ~神なき世界の雪下華~
ユキの
プロローグ 第1話 神話になる「モノ」
ここは地球と遥かに遠いところにある惑星……。
大気に重力や水に恵まれたものの空気中に金属粒子が高濃度に含まれており
地球のように有機生命が誕生しなかった赤い星。
しかし地球と違い炭素や金属で体組織を形成した「無機生命体」が誕生していた。
これは地球とは異質な進化を辿った小さな……小さな、金属の塊が命を宿し、
しかし心を持って生まれなかったその命が人類と出会ったことで始まる物語。
~それは生まれた時から独りだった~
ナイ…無い…ココにはワタシのホカはナニもナイ…
こコは地面…それダけ…なにモナい
(サミシイ)
~「それ」は何か目的を持つでもなく、ふよ、ふよと何もない空間を漂っていた。
こコは海…
水はアル
だけどそれ以外はナンにもナイ。ない、無い。
私がホシいモノはナンニモナイ…
~それは産まれてからずっと、ずっと独りだった。長い、長い間、独りっきり…~
(サミシイ・・・)
~ある時、「それ」は自分と同じく赤く、ぼんやりと光る何かがそこに漂っているのを見つけた~
ア! 私と同じ「モノ」だ
~漂う「それ」は動くことなくぼんやりとそこに佇んでいた~
ハジメマシテ? コンニチワ?
~「それ」は初めて出会った自分と同種のものに必死にコンタクトを試みる。しかし~
ゼンゼン反応がナイ…
~喋れるわけでもなく、その時の「それ」には意思疎通できるような手段もない。
それどころか出会った「モノ」は自分で何かを考えて動いているよう
な知能すらなかった~
…あ、ヒトつになったラ私が「ホシイモノ」が手にハイるかな…?
~思えばこれがその生物が初めて「進化」した瞬間だったのだろう。
本能的に体組織を変化させる。
準備が整うまで何時間かかったか、それとも何日もかかったのか……~
~小さな丸い「それ」は体全体を開き……~
…えい!(パクっ)
~「それ」は初めて他者を捕食した。
その生物は基本的に他の何かを取り込んで自分のエネルギーにする、などということは今まで必要なかったのだ~
…うーん、ヒトツになってモ、ワタシが大きくなっただけでなんニモわからないナイや…
(サミシイ)
~寂しさゆえか、その後、長い年月をかけ「それ」は同種である「モノ」を捕食し続けた。
気づけば米粒より小さかったその体はバスケットボールほどの大きさまで肥大していた。そんなある日~
…ん?
何かココに来る…
~初めて感じる感覚。気づけばそれまで何をやっても無反応だった「モノ」達が集まってきていた~
ふフ、ワタシと同じ「モノ」達も…気が付いたみたい…
トオイ…トオイ…オソトから来た「モノ」なら…きっと…)
その時の「それ」…ううん、「彼女(わたし)」はそんなことを考えていたのかな?
わかるわけないよね、そんなこと。
その時の「彼女」には「言葉」だって「考える」事だって「感情」すら識らなかったんだから…
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