第17話 名声と別離

 <名声と別離>

 一行は、強力な魔法の武具を手に入れ、龍を打倒した者として名声を得た。

 そのころ、時を同じくして、世界中に点在する神代の遺跡から魔神の尖兵と思われる低級~中級魔族が出没するようになる。

 <獅子隊>一行は、それらを狩るべく、世界各地を奔走した。

 低級魔族ならまだ他の冒険者パーティでも何とかなるが、中級魔族以上になれば、相手できる冒険者は限られる。

 そういう意味で、<獅子隊>は精力的に魔族狩りに奔走したのである。

 一連の戦いは、一行の実力をさらなる高みへと押し上げた。

 一方、魔術師ギルド幹部は、死霊の山脈にある魔神の封が緩んできているのではないかと危惧する。

 魔術師ギルドは幹部級魔術師たちが総力を上げて遠隔調査を実施し、その結果、封は完全稼働しており、封自体に問題はないと推測された。

 しかし、各地の魔族の跳梁は、魔神と何らかの関係があるとの結論に至る。


 <獅子隊>一行が龍退治からタイジェルに帰還した頃、魔術師ギルドは、件の大魔導師の残した書の解読を終えていた。

 そこには封印に関する詳細な情報と、封印された玄室に入るための呪文などが記載されていた。



 解読を終えた魔術師ギルドは、魔神の封印を確固たるものにすべく、新たな『封』を世界各地に設けることを提案した。

 これは、各地に出没している魔族が、人や亜人などから精気や魔力、生命力などを集めてそれを封の中の魔神に送っていると思われる、との観測結果が出たことによるものだ。

 魔神への魔力供給を絶とうという目算である。



 対してアイオリアらは、魔神が力を得る前に封印から出して討ち果たすことを主張した。

 アイオリアらは、対魔神用の武具が充実したことや、メンバーが増えて戦力が充実したこと、魔術師ギルドの方針では終りが見えないことなどを指摘して討伐を主張し、魔術師ギルドとの協議は物別れに終わる。

 キー・リンは、アイオリアらと分かれて魔術師ギルドに戻り、内密に封印作戦の実行を企図した。

 キー・リンの封印作戦は、先の通り、魔神の封を中心に世界各地に封印を築き、各地からの魔力供給を断つという方策だった。

 魔術師ギルドは、この二重封印の実行を秘してアイオリアらに魔族の討伐を依頼する。

 <獅子隊>は魔族討伐の任を受け、各地の遺跡を巡り、多数の魔族を討ち果たした。



 <獅子隊>が魔族を討滅した遺跡には、魔術師ギルドの術師たちが赴いて新たに封印をかけ、これ以上上級魔族が現れないようにして、魔神への魔力供給を絶とうとした。

 このことは<獅子隊>の気付くところとなったが、<獅子隊>もその封自体の重要度は理解しており、止めることはなかった。


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