フライヤーズ/魁怪祁戒-カイカイキカイ-
ronboruto/乙川せつ
第1話【フライヤーズ】
この世界には平凡が満ちている。
それは平和であり、鎖でもある。平和を打ち破った時にだけ、それ相応の奇跡が舞い降りる。
これは、七人の友情と、三人の愛の物語。
中学校の卒業式。
仲良し七人集団【フライヤーズ】はこの時に結成された。
別々の高校に行っても、また出会えるように。この絆が、無くならないように。
仲間を、助けるために。
「俺達の絆は、永遠だ!」
「くせぇー」
「ホントホント」
「健治、アニメ見すぎ!」
「お前にだけは言われたくねぇわ!」
「ただ、言いたいことは分かるよ」
「ああ」
「記念に一発やろうぜ!」
『アイキャン、フライ!』
【フライヤーズ】メンバー。
リーダー【天宮健治(あまみやけんじ)】
主人公。運動神経最強。空間把握能力最強。勘がいい。
霊に好かれやすい。霊だまりのトラブルメーカー。父がポリネシア系。
サブリーダー【古川雄輝(ふるかわゆうき)】
機械全般最強。頭は回るが基本バカ。
会話が下手。五教科はいつも赤点。
パワー担当【松本紘一(まつもとこういち)】
デブ。寝起き最悪。優しい。寝起きで不機嫌な時はパワー増大。
野球と相撲が得意。
まとも系あたおか【神岩大智(かみいわだいち)】
豆知識を多く知る。成績優秀。突拍子もない行動を起こす。
実家が剣術道場なので武術全般を会得している。
ゲームオタク【高崎佑太(たかざきゆうた)】
メガネをかけたオタク。元いじめられっ子。キレたら怖い。
好きなアニメは「魔法使いエンデルの歩み」。冒険好き。ゲーム・アニメに関する知識が豊富。
歌うまガリ【竹川誠也(たけがわせいや)】
滅茶苦茶歌がうまい。運動も得意。
コミュニケーション能力が高い。声優を目指している。
キックボクシングマン【綾瀬功(あやせこう)】
キックボクシングが達人レベル。ダンスを努力で身につけた。
勉強は全て平均点。好きな幼馴染がいる。
それから数ヶ月後、それぞれの高校で歩き出した。
「なぁ、おい、健治? おーい、健治!」
「…………?」
昼休み、俺の安眠を妨害した奴がいた。学校で唯一休める、この大切な時間を…………。
「なんだよ、紘一」
俺とこのデブは同じ高校に通っている。
ここはスポーツの強豪校で、紘一はそれ目的(野球部)。
「今日さ、みんなで集まるんだけど来るだろ⁉」
「あー、行くぜ。春休み終わった以来か?」
「そうそう、だからさ」
「?」
「みんなでオヤツ食って駄弁ろうぜ!」
「お前、食いたいだけだろ…………」
「あ、バレた?」
「まあ、いいけどさ」
「あぁやべっ、俺次の課題やってねぇ!」
「紘一、またか」
「すまん、数学見して!」
「ほい」
「サンキュー! やっぱり持つべきものは友達だぜ!」
「ああ、友達だ」
放課後。夜七時。
「よー、みんなー」
「久しぶり………でもないか。大智」
「おひさー」
「おっす」
「よっ」
「おせーぞ、大智」
「ごめんごめん。部活がね」
「おれもー」
「大変だなー」
みんなが集まり、それぞれの話題を持ち出す。
「そういや最近、変な噂聞いたんだけど知ってる?」
「なんだそれ」
「知らないー」
オタクの王様、佑太はゆっくりと話し始めた。
「実はさ、この街で幽霊が出てるらしいんだ」
「幽霊?」
「知ってる?」
「いや………どんなやつなんだ?」
「これは同じ高校の男子グループが肝試しに行った話なんだけどよ。何でも夜中、女の霊が後ろから現れたっつうんだ」
「なんだそりゃ、ベタだなー」
「それで?」
「しかもその幽霊、すっげえ美人らしい」
「「「ほうほう!」」」
「おーい、いきなり食いつくな」
恋に飢えた仲間達に半ば呆れながら、佑太の話を聞く。
「その幽霊は『アナタは誰?』って聞いてくるみたいなんだけど、答えなかったら消える」
「答えたら?」
「分からない。みんな怖がっちまうから言えないらしい」
「………なあ、その検証って何時頃の話?」
「ん? 多分八時くらいじゃないか?」
「じゃあ、みんなで行こうぜ!」
『はぁ⁉』
雄輝の提案で俺達は暗い街中を調査することになった。
「こうしてるとさ、懐かしいな」
「ああ、春休みのフライヤーズ…………」
「楽しい、日…………か」
三人が感慨にふけっていても。
「おーい、おせーぞお前らー!」
「早くこーい」
「置いてくぜー?」
「早くー」
『お前らガキ過ぎんだろ!』
『?』
『ダッハハハハ!』
七人で大笑い。これが、フライヤーズだ。
――ぁ―― す、き…………すき…………すきすきすきすきすきすきすきすきすきすきすき
「…………?」
「なあ、なんか聞こえね?」
「女の、声………?」
「誰かいますかぁー?」
「…………まさか…………」
「いや、そんなわけ…………」
「けど、幽霊ホイホイの健治がいるよ…………」
『逃げるぞ!』
「結局こうなんのかよ!」
「幽霊はやっぱいるんだ!」
「なぁ、好きって言ってねぇかこの声!」
「俺達の誰かが魅入られたか!」
「ゼッテェ健治だろ!」
「勘弁してくれぇー!」
心の底から願った。俺は、幽霊に取り殺されて終わりなんて御免だ。
(頼みます俺の守護霊さん、助けて下さい!)
「解散!」
『また生きてたら!』
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