最後の人

海星

第1話 何回目の事

アロマランプのみの薄暗い部屋の中…。


「匂い、嫌じゃない?」

「うん。いい匂い。」

「前にさあやがいい匂いって言ってたやつ使ってみた」


「……」

「なに。」


いつもと同じ。ベットに座って手を繋いでいた。


「……」

「……」


その日は珍しく彼女から唇を重ねてきた。


「さあや、俺ね、」

「うん。」

「…他人ひとの女だと触ってても『他人ひとのモノ感』がして虚しくなるんだけどそういうのわかる?」

「…あんたは繊細だからね。」

「俺からは?そんな感じする?」

「…今まではあった。でも、今はない。」

「やっぱりな。さあやならわかってくれると思った。」

「あたし達、似てるから。」


「…さあや、ごめんな。」

「許さない。」


自然と彼女に押し倒された。



「実際どっちがいいの?」


彼女に腕を押さえつけられて聞かれた。


「沙耶をいじめてる方が楽しい。でも、不安。俺を通して俺以外の誰かを見られてる気がする。誰でもそうだけど。立場が逆でも同じ。」

「じゃあどうしたらあんたは安心してあたしを信じられる?」



ゆっくり起き上がって彼女を抱き寄せた。


「死ぬほどこうさせてくれたら。」

「…あんた本当はしたくなかったの?」

「違う。」

「しないとあたしが悲しむとでも?」

「……」

「あたしはこれだけでもいいよ。したくなったら襲いかかるから。」

「それ嬉しい。」

「でしょ?知ってる。」

「でもその時はこうやってされたい。でも目隠しは嫌。怖い。」

「そんなつまんないのしない。しっかりあたしを見ててもらう。」

「…さぁや好き。」

「あたしはもっと好き。」



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