ダンジョンと服と俺
@katuonotatakpe
プロローグ
第1話
人は生まれつき平等ではない。
極端に足が速い黒人の男性。
美しい歌声の金髪女性。
野球で偉業を成し遂げる日本人。
他にも様々な人が他の人とは何かが違い、平等ではない。つまり、俺が何が言いたいのかといえば…
「健二君、これ誤差じゃなくて間違いなく2センチ縮んでいるね。だから君の身長は128センチで間違いないよ。しかも体重も26.4キロだね…その…可愛いですよ?」
「やめて下さい、優しさで俺の心の傷を抉らないで下さい」
誰か俺の身長を平均の身長にしてくれ。中学2年にもなって140センチどころか130センチもないとかヤバすぎる。
〜〜〜〜〜〜〜〜
俺の名前は『笹木 健二』、東京は荒川区に住む中学2年生である。現在は学校の定期的な行事である身体測定の真っ最中なのだが…今日、俺の身長が遂に130センチを切ってしまい120センチ台まで縮んでしまった。解せぬ。
「何故だ…」
しかも体重も26.4キロとかなり軽い…というかほぼ小学3年生と変わらない、理不尽すぎる。毎年計測してくれる人にはだいぶ驚かれるし、何より『何で男の癖にこんなにハリもあるモチ肌なのよ!?』『体重軽!?しかも童顔で低身長とか捗るんですけれど!?!?』とか毎年の如く女子に言われてしまうのが精神的にかなりキツイ。
(あれか?やはりあの謎のスキルの効果か?効果なのか??)
俺はそう思いつつ左手を前に伸ばして人差し指だけを立てると、そのまま『s』の文字を空中に書く様に動かすと、その書いた場所に何故か赤く光る『S』の文字が描かれて、俺はその文字を人差し指で2回突く。すると『S』の文字は消え、代わりに透明な水色の板の様な物が文字の書いた空中に出てきた。
『
《ステータス》
笹木 健二 / 13歳 男性
《ジョブ》
「格闘家」:拳や蹴り、関節技などがモンスターに有効になる。
《スキル》
「衣服工房」:素材を集めると時間はかかるが自動で衣服を作る、作る衣服はランダム。但し、作った衣服はスキル内で保管可能。修理時は自動かつ素材不要だが時間が必要
『現在の衣服の製作に必要な素材』
魔石 15kg / 14.8kg
モンスターの血 50ℓ/ 50ℓ 《納品完了》
モンスターの骨 50kg /50kg 《納品完了》
虫系モンスターの筋肉 50体/48体
獣系モンスターの筋肉 50体/50
アルミニウム 58g /58g 《納品完了》
使用者の血液 20ml /20ml 《納品完了》』
「いや、関係ないか…それにしても、いつ見てもヒデェな。俺のステータス」
俺は目の前の板に映る文字を見てそう呟きながらため息を吐く。
この板は『ステータスプレート』と呼ばれている物で、今から大体100年くらい前に全世界にいきなり現れた黒い石碑、通称『ダンジョンゲート』と呼ばれる物が出現したと同時に全人類が共通で使える様になった特殊な力だ。
ダンジョンゲート、そのゲートを潜ると別世界が広がっていて全部で階層は3つで構成されており、ダンジョン内では『モンスター』と呼ばれている超危険生物が生息していて、現代兵器どころか銃火器、爆弾や移動に使う乗り物などは一切使えない。そんな状況の為本来なら人々はダンジョンにはちかよらないのだが、ジョブによる補正やスキルを駆使すればダンジョン内で戦える事が分かった。更にダンジョン内での未知の世界や絶景、無限とも言える様々な資源や食糧、未知の鉱石や薬草などなどが採取できる。そして宝箱と呼ばれている箱状の何かを手に入れれば中には傷や病を瞬時に治す薬や未知の技術の武器が手に入り、ごく稀に『スキルカード』と呼ばれている使うとカードに書かれたスキルを取得できる不思議な物まで手に入る。
ゆえに人々は一攫千金を狙えるダンジョンに対して熱意を燃やし、今日までダンジョンこそクリアーした人はいないが間違いなくダンジョン産の物が世界中で取り扱われる様になった。
「そんなモンスターの素材を使う衣服…って何だろう?…分からん」
俺はそう呟いたと同時に俺を呼ぶ声が聞こえてくる。
「健二、健二はいるか!?次の視力検査と聴力検査がまだ終わってないぞ!」
「…あ、やべ。忘れてた…はーい、今行きます!」
俺を呼んでいたのは担任の先生だった。どうやら検査の順番になっても俺が現れなかったので探しに来てくれたらしい。俺はそれを見て急いで返事を返して先生の元に向かう。
だが、俺はその時は何も気づいていなかったんだ。俺のこの『衣服工房』のスキルがとんでもないぶっ壊れなスキルであった事を…
「ふん!」
「握力が右手72.6kg、左手が71.9kg…お前、見た目に反して握力とかの身体能力が化け物だな」
ダンジョンと服と俺 @katuonotatakpe
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