ひとりぼっちのクリスマス
森杉 花奈(もりすぎ かな)
上京して初めてのクリスマス
今年のクリスマスは、ぼっちクリスマスに
なりそうだ。
私が上京してはじめてのクリスマス。仕事の
都合とはいえ、東京で仕事をするはめになっ
た私は、友達も家族もいないクリスマスを迎
えることになった。家族さえも一緒じゃない
クリスマス。上京したばかりの私は、友達や
ボーイフレンドすらまだいなかった。
ひとりぼっちで迎えるクリスマス。それは
それで仕事の都合だから仕方がないことだと
思った。今は仕事に専念しよう。そうだ、仕
事が終わったら映画でも見に行こうかな。前
から見たい映画があったんだった。いつか見
に行こうと思って、先延ばしにしていた。暇
つぶしには丁度良いだろう。今日はあの映画
を見に行こう。私は仕事を片付けると映画館
に向かった。
映画館は駅の近くにあった。私はチケット
を当日買いして席に座った。
楽しみにしていた映画はとても面白く、来て
よかったと思った。私がひとりで映画を楽し
んでいると、突然声をかけられた。
「おひとりですか?僕もひとりなんですけど」
声の主は若い青年だった。ビックリしている
と青年は隣の席に座った。
「この映画、すごく楽しみにしててなかなか
見れなくて、今日初めて見れたんですよ」
私と同じだ。私もなかなか時間が作れなくて、
今日初めて見たのだった。
「そうなんですか。私もです。偶然ですね」
「良かったら一緒に見ませんか。ひとりで見
るのも淋しいので」
「いいですよ。一緒に見ましょう」
それから私はその青年と映画を一緒に見た。
青年はとても楽しそうに映画を見ていた。
私も一緒になって楽しんだ。映画は最後まで
面白かった。
「この映画どうでしたか?僕は楽しかったで
す」
「私は面白くて最後まで引きこまれちゃいま
した」
「本当ですね。とても面白かったです。とこ
ろでこの後なんですが、何かご予定はありま
すか?」
「いいえ。特に何もありませんが」
「もし、良かったらお食事でもいかがですか」
「はい。ご一緒します」
青年は私を食事に誘った。そしてふと売店
の前で足を止めると、さっきの映画のぬいぐ
るみを買った。
「メリークリスマス。プレゼントです」
青年はぬいぐるみを差し出した。
「ありがとうございます」
私はぬいぐるみを受け取った。ぬいぐるみは
とてもかわいくて私は嬉しくなった。
上京して初めてのクリスマス。ぼっちクリ
スマスになるかと思っていた。思いがけない
神様からのサプライズ。私はクリスマスを、
青年と楽しく過ごしたのだった。
ひとりぼっちのクリスマス 森杉 花奈(もりすぎ かな) @happyflower01
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