クリスマスに向けて、私の仕事!
崔 梨遙(再)
1話完結:900字
“サンタさんへ 僕はクリスマスにプレゼントをもらったことがありません。家が貧しいからです。でも、1度はクリスマスにプレゼントをもらいたいです。 サンタさん、僕にプレゼントをください”
“サンタさんへ 僕はクリスマスにプレゼントをもらったことがありません。やっともらったと思ったら、小銃でした。僕の国は戦争が絶えないからです。サンタさん、夢のあるプレゼントを僕にください”
“サンタさんへ 僕は明日死ぬかもしれません。病気なんです。死ぬ前に1度、サンタさんからのプレゼントが欲しいです”
今日も、サンタへの手紙を読みながら、私、三子(さんこ)はまた涙を流して手紙を読めなくなる。文字が涙で滲んで読めなくなるのだ。
「三子、今年のリストは出来たかな?」
「うん、出来た。あなた、今年も頑張ってね」
簿九賀(ぼくが)三太は、私からリストを受け取る。今年、プレゼントを配る相手のリストだ。私の仕事は、1年間かけてプレゼントを配る相手のリストを作ることだった。ちなみに時給は最低賃金。三太はサンタ、勿論、三太も最低賃金。
「戦争の絶えない国もあるから、気をつけてね」
「わかった、僕はリスト通りに届けるだけだから」
トナカイのソリに乗る三太。
「じゃあ、行ってくるよ」
「いってらっしゃい」
朝方、三太は帰ってきた。身体に幾つもの銃弾を浴びて。三太はベッドに寝転がった。医師免許を持つ私が三太の身体から銃弾を取り出す手術をした。
「あなた、重症だったわよ。最悪のクリスマス・イブになったわね」
「いやぁ、もうすぐ亡くなる子と、貧しい子にプレゼントを配るまでは良かったんだけどね。戦争中の国はキツかったなぁ」
「ごめんね、そんな国に行かせてしまって」
「今日はクリスマス当日だ。また今からプレゼントを配りに行ってくる」
「大丈夫? 無理してない? また戦争中の国に行くんでしょう?」
「大丈夫、三子がいてくれたら、それだけで僕は元気でいられるから」
「戦争中の国に行かせる私だけど、それでもいいの?」
「戦争中の、恵まれない子供達のことも考えている君だからいいんだよ」
クリスマスに向けて、私の仕事! 崔 梨遙(再) @sairiyousai
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