嘘事件/嘘未解決事件
@e_nunuma
1949年 セントカルナの幽霊騒動(解決済み事件)
1949年あたりから、アメリカのオカルトマニアの間では「アラスカ州・セントカルナでは幽霊の声を聴いたという体験談が異常に多い」という噂があった。
セントカルナはアクセスの悪い小さな田舎である。そこの廃墟、歩道橋、電話ボックス、公衆トイレ、あらゆる場所で幽霊の声が聞こえるのだ。声は「おい」「助けて」「ウフフ」「綺麗な目だね」など多様に渡り、同じ場所では同じ声が聞こえてくることが多かったらしい。
しかしそれから15年後の1964年、手品のタネが割れる。声は簡素な機械から流れていたのだ。その機械は人が通りそうな所にとりつけられる。日照センサによって今が夜であることがわかり、赤外線センサによって熱をもった動くもの(=人)がいることを検知すると、レコーダーから事前に録音していた声が流れる。巧妙なことに、一日に何度も流すと音の発生源を特定されてしまうので、一日に一度しか音が流れないような仕組みになっていたのだ。
警察が捜査した所、犯人がわかった。犯人は、役所に勤める、オカルトマニアの43歳(犯行時は28歳)の男であった。取り調べの中で彼は「オカルト雑誌で取り上げられて噂になればこの町への観光客が増えると思い、役所の業務としてやった」と供述した。しかし、機械は自腹で自作し、職場の人間に相談することなく、休日を利用して独断でこのようなことを行っていたことを鑑みるに、業務ではなく趣味であることは明確だった。
彼は軽犯罪法違反や道路交通法違反で懲役刑になったが、この事件が新聞で取り上げられると、彼のいたずらを愛する人々がセントカルナに押し寄せた。警察でも回収しきれていなかったレコーダーを回収する人が続出し、オークションに多数出品された。結果として彼の行いは観光客を増やすことになった。
ちなみに現在では当然それらの機械は電池が切れているため、今後セントカルナで幽霊の声を聴いたら、それは本物である。
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