第9話 転換点
変幻自在!なりきりボイスチェンジャー:色々な種類の声を出せるようになるボイスチェンジャー。
その声幅に制限はなく、たとえエイリアンでも、たとえ可聴域外の音でも出せる。
変化したい声の対象やシュチュエーションを入力することで最適なものが選択される。
電力魔力ハイブリット型コンデンサーマイクロホン:無線の高性能マイク。
電力でも魔力でもどちらでも充電出来る。音質、ノイズキャンセル、音量調節など様々な要素が高水準なレベルとなっている。何の支えもなく、独自に浮かぶ事が出来るので最適な高さへと勝手に調節してくれる。
携帯用高性能デジタルビデオカメラ×3:小さな高性能ビデオカメラ。
有効画素数は約4000万、色深度は20bit対応。手ブレ防止や省エネ機能が付いている。
耐久性が高く、また軽く持ちやすいので動き回る撮影にも対応できる。
千変万化!なりきりコスプレセット:様々なコスプレをこれ一つで。
コスプレの対象を思い浮かべると自動で変化し、メイクまで済ましてくれる。
小太りしたおじさまから無邪気な幼女まで七変化。ただしアニメ、ゲームなど2次元の存在に限る。
思考が丸わかり!?逆サトリちゃん:チョーカー型のマジックアイテム。
過度な装飾はなく、ただ一つ宝石のようなものが付いている。
これを付けると着用者の思考を空中に投影した吹き出しに文字として出力する。
文字で表現出来ないものは静止画を出力する。
フロア型ワイヤレスラウドスピーカー×2:ワイヤレスのスピーカー。
幅広い音域に対応しており、同軸スピーカーなので音ズレも少ない。
独自に浮かぶことが出来るので、より広域に音を届けられる。
先ほどアイテムガチャを引いたケイ。
おみくじを模したガチャで、大吉と大凶がそれぞれ一枚入っていると言うおみくじガチャ。
結果は大凶。更にガチャに思いっきり煽られてしまう。
怒りの沸点を振り切り、人としての意識を無くしてしまったケイ。
そんなケイの目に入ったのは紅白に色付けされたカプセル。
紅白。主に祝い事に用いられる色使いだ。その効果は推して知るべきだろう。
少なくともケイの野生に帰った理性が戻ってくるくらいの威力はある。
だが、乱数の女神の信者であるケイは騙されない。
これまで幾度となくその純真無垢な信仰を裏切られてきたのだ。
今回もそのパターンだろう。
そう、同じなのだ。同じだと分かっているのだ。頭では理解しているのだ。
しかし心が!魂が!理屈ではない何かが!!
こう囁くのだ。
『おいおい
と。
頭が、経験則が、理屈が警告を鳴らしている。
ああ、だがしかし。
人間とは愚かな生物なのだ。
結局ケイは僅か………いやそれなりに期待してカプセルを開けた。
結果はご覧の通りだ。
出てきたのは
1:メイド服(大正ロマン風)
2:ボイスチェンジャー
3:マイク
4〜6:ゴープロ
7:コスプレセット
8:チョーカー
9〜10:スピーカー
の10個だ。
完全にネタである。
性能が中々高いのが逆に腹立たしい。
やたら配信機材が揃っているが、天は配信をしろと言っているのだろうか。
結局ガチャは二つとも大外れだ。
片方は最低保証で、もう片方はネタ枠セット。
ケイは泣いてもいい。
「ハァァアアア…………終わった。
僕のダンジョンマスター生終わったわー。
魔物はまだマシだけどアイテムは完全にアウトでしょ」
地面に寝っ転がり、ゴロゴロと転がるケイ。
そんなケイを慰めようとツトゥル達は再び奇天烈な舞を舞う。
それはどこか、ソーラン節に似ていて………。
「そういえば君たち喋らないね。まぁ口が無い………いや夜鬼はあるか。
じゃあ声帯が無いのかな?」
ツトゥル達は一斉に頷く。
まぁ仮に声帯があったとしても意思疎通が出来たかは怪しいのだが。
と、ここでケイはふと気づく。
「チョーカー使えるんじゃない?あーでも一個しかないのか。
え?ツトゥルが代表して付けるの?夜鬼たちは………良いみたいだね」
早速ケイはチョーカー、正式名称思考が丸わかり!?逆サトリちゃんをツトゥルの首につける。
すると唯一の装飾である宝石らしきものが淡く光り、カチャリとロックが掛かったような音がする。
「え、ちょちょちょ。もしかして………取れない。
いやまぁツトゥルにあげるつもりだったから良いけどさぁ」
「主人様。感謝。我、一層励む」
ツトゥルの顔の横に吹き出しが現れ、文字が出力される。
ケイの身長は日本男性の平均身長より小さいので、見上げる形になる。
そこにはとても固い言葉使いでツトゥルの意思が書かれていた。
「うん、よろしくね。
………ちなみに何でそんなに固い言葉使いなの?」
「我、主人様の言葉、初めて。難しい」
「あーなるほど。日本語は難しいって言われてるしねぇ。
また後日に人里に降りてスマホとかパソコンをゲットしようか。
それで学習したらいいよ」
「感謝」
「うん。さて、いつまでもこうしちゃいられない。
色々実験したいこともあるしね」
人(?)と会話することで、ある程度感情の整理がついたのか、気持ちを切り替えられたケイ。
ケイはツトゥルを連れて表空間へと戻る。
表空間でダンジョンを作った場合、裏空間とどのような差異が現れるのかの実験だ。
元々は裏空間でダンジョンを作った際、展開したダンジョンに障害物が現れなかったのが発端だ。
もし表空間でダンジョンを作り、展開したダンジョンに障害物が最初から付いていた場合は今後のダンジョン運営は表空間が主になるだろう。
「[支配領域生成]」
ケイがSkillを発動させる。
しかし何故か発動しない。
それどころかウィンドウが立ち上がり、警告を告げてきた。
警告:支配領域内に支配領域を生成しようとしています。
作業を実行した場合、不都合な事が増加します。作業を続行しますか?
YES/NO
「…………何これ」
異様な状況にケイは混乱していた。
支配領域……要するにダンジョンでしょ?表空間には作ってないけど。
裏空間にダンジョンは作れて表空間には作れないのか?
普通逆じゃないの?不都合な事って何だ?そもそも何でこんなメッセージが出てきた?
様々な疑問が脳裏に浮かぶ。
が、静かにウィンドウを見ていたツトゥルは冷静だった。
だからこそ、その事に気付けた。
「主人様。主人様」
「ん、どうしたの?」
「否定を推奨。脅威は避けるべき」
「……うん、そうだね。それは分かってる。
でも何でこんなメッセージが…………」
ケイはNOを押しながら言う。
しかし、その顔は疑問に満ちていた。
すなわち、何故あんなメッセージが出たのか?
「主人様。何故此処に新たに生成?」
「ああ、そういえばツトゥルはあの時いなかったね。実は………」
事情を説明するケイ。
それを聞いたツトゥルが一言。
「ダンジョンの型が違うからと推測」
正論だ。
あれだけの数の型があるのだから、それぞれ違う箇所があるのだろう。
それこそ障害物の有無や数など。
しかし。
「まぁ僕もそう思ったんだけど………ほら、僕がダンジョンを作った場所って裏空間だからさ」
「………理解失敗」
ツトゥルは理解出来なかったようだが、要するにこうだ。
ケイがダンジョンを作ったのは[空間の主]によって道が開けた裏空間だ。
もっと分かりやすい言い方をすると、ゲームのテクスチャの裏、運営や開発がプレイを想定していない場所でダンジョンを作ったとケイは考えていた。
当然そんな場所でプレイするとバグだらけで到底遊べるものではない。
一部のもの好きは、そのバグを使って遊んだりするかもしれないが、それは置いておいて。
このメッセージも変な場所にダンジョンを作ったからなのではとケイは考えていた。
「うーん、なんて言ったらいいだろうなぁ」
「主人様何故ダンジョンに関して話す?問題は支配領域に関して」
「え?」
それは小さな勘違いが原因で起きた。
違和感はあった。
元々定義はあやふやだった。
ただ、今までの状況的にそう判断していただけで。
「警告、支配領域内に支配領域生成を問題視。何処にもダンジョンに関して記述なし」
それは小さなミス。
しかし、気づかなければ致命的なミスだ。
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