私は、鬱病からの糖尿病に

星咲 紗和(ほしざき さわ)

第1話 苦しみの始まり

就活がうまくいかなかった。何度も履歴書を書き直し、面接を受けたが、結果は思わしくない。社会の中で自分が必要とされていないように感じ、次第に自信を失っていった。


やっと手にした仕事も、長く続けられなかった。人間関係の難しさ、期待に応えられない自分への苛立ちが重なり、何度も仕事を辞めた。周りの人々の目線や、静かな批判が耳に届くたび、心はどんどん塞ぎ込んでいった。


そんな中、過食が始まった。食べている間だけは心が満たされる気がした。だが、結果的に体重は増え、鏡に映る自分を見て、さらに嫌悪感が募った。「太っているからだ」「自己管理ができていない」と馬鹿にされることもあった。それがまた、心を押しつぶしていった。


気がつけば、自分の中で何かが崩れ去っていた。日々が重く感じられ、何をしても虚しく、ただ食べることに逃げ込む日々。その結果、糖尿病を告げられた。医師からは「このままでは入院が必要になる」と警告されたが、当時の私は何も変えられない自分に失望するばかりだった。


それでも、どこかで「このままではいけない」という思いが心の隅に芽生え始めていた。けれど、それを実際に行動に移す勇気はまだなかった。この頃の私は、ただ沈み続ける日々を過ごしていた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る