第2話:鏡の国から来た女子高生。

なわけで、僕は女の子に家の中に入ってもらって、なんでこんなことになってる

のかについて事情聴取した。


「え〜とまず、僕の名前だけど「等々力 渉とどろき わたる」って言います」


「わたる?・・・ワタルさん・・・ワタルちゃんね、よろしく」


で、今度は君の名前・・・教えて?


「私の名前は「百色ひゃくいろメガネ」・・・それが私の名前ね」

「ひゃくのいろって書いて百色・・・メガネは目にかけるメガネね」

「百色メガネって万華鏡のことなんだよ」

「私は向こうでは万華鏡って呼ばれてたの」


「そうなんだ・・・あ、百色 メガネちゃん・・・よろしくね」

「って・・・向こうの世界?」

「つうかメガネちゃんは何者?・・・たとえばだけど・・・異星人とか?」


「違います・・・ちゃんとした人間の女子だよ」

「じゃ〜説明しますね・・・少し、突飛なお話になるんだけど・・・」


「そうね・・今から17年前にさかのぼるね・・・」

「17年前、私は朝、学校への登校中に交差点で右折してきた大型トラックに跳ねら

れたの」

「気がついたら私は魂だけになっていて本当なら魂が行くところへ行って

現世に転生してたんだと思うんだけど、・・・どこをどう間違えたのか、私の魂は次元を超えて別の世界に行っちゃったみたいなの」


「そこは「鏡の国」って言うところで私の魂はその鏡の国で生まれ変わって17歳までそこで育ったのね」

「だけど、鏡の国の女王様に元々あなたの魂は人間界にあるのが本来の姿だから、

これからは人間界に戻って暮らしなさいって言われて・・・鏡の国から人間界に

戻ってきちゃったの・・・でも次元の空間が不安定だったから思った場所に出ることが難しくて、ワタルさんのお家の庭に現れちゃったって訳」


「17年経っちゃったけど、まだ私の家には家族がいると思うんだけど、だけどもう

亡くなっちゃってる私は家族の元には帰れないでしょ?」

「だから戻ってきたのはいいけど、これからどうしようかと思って・・・」


「そう言うことなんだけど・・・ここまで分かりました?ワタルちゃん?」


「にわかには信じがたい」


「そうでしょうね・・・普通はこの女は何をおバカなこと言ってるんだって思う

よね」


「おバカだなんて思わないよ・・・可愛い子に、おバカな子なんていないんだから」


「そうなんですか?」


「そうだよ・・・僕の持論だから・・・だから信じる・・・全面的に信じる」


「ってことで、改めてよろしくねメガネちゃん」

「僕んちの庭で知り合ったのも、なにかの縁だし・・・行くとこないならいてくれていいから」


「え?そんなに簡単に私を信じていいんですか?」

「だから可愛い子はウソもつかないから・・・僕、巡査してるから人を見る目はあるんだ」

「自分の家に帰れないなら、ここにいていいから・・・面倒見てあげるからね、手取り足取り」


「手取り足取り?・・・」

「異世界から戻ってきた女の子と仲良くなれるなんてこんな貴重な経験ないよね」

「だから僕んちにいていいからね、よその家は訪ねて行かないように・・・」


な、いいところで母ちゃんが横から割り込んできた。


「渉・・・この子、うちでお預かりするつもり?」

「この子、人間の女の子みたいだからご飯食べるわよね」


「なに?なにが言いたいいんだよ」


「ご飯食べる人がひとり増えると家計に響くんだけど・・・」

「母子家庭だから・・・」


「そんなセコいこと言うなよ、僕だって働いてるだろ?」

「心配しなくても彼女の食費くらい俺が出すよ」

                              

「そう、じゃいいわ・・・大歓迎よ、え〜と・・・なにちゃん?」


「百色 メガネです、お母さん」


いいも悪いもなくメガネちゃんは、そのまま僕んちを拠点に暮らすことになった。


で、そんなことしてたもんだから、僕は完全に派出所に遅刻してることをきっちり

忘れてた。


つづく。






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