聖夜の魔法にかかるまで〜 I scream love for you.〜
柚月まお
第1話 赤い顔の雨谷さん
※名前の読みについて※
雨谷虹実(あめやななみ)
深坂幸司(みさかこうじ)
梅雨明けの七月、虹がかかる朝に転校してきた僕の席のお隣さん雨谷虹実さん。
なにかと僕に話しかけてくれる女の子。なんだかんだ五ヶ月が経った。え、五ヶ月も経ったの!? 思い返していて自分でびっくりしている。暑い夏の日だったのに気づけば寒い冬になった。秋どこって感じだったな…。
「おーい、おーい幸司くん聞いてる?」
『は、はい聞いてないです』
「やっぱり聞いてないじゃん!」
『ごめんなさい…なんの話ですっけ』
「だ・か・ら今月いつ空いてるのって聞いてるの!」
『えぇ、今月ですか』
「そう、今月だよ」
『なんでですか』
「なんでもいいでしょ」
『月末は二十日から空いてますけど』
「じゃあ二十四日を私にくれない!?」
『いいですけど、それってクリスマスイヴじゃ…』
「あーー聞こえない聞こえない」
『じゃあ二十四日の予定はキャンセルで』
「それは確定事項だから!」
——キンコンカンコン——
朝のチャイムが鳴って雨谷さんが座った。当然僕の隣の席に。
なぜか顔が赤くなっている。なぜだ、風邪でも引いたのか?
もしかしたら僕が風邪ひいてるとか?そんなわけないと思う。
だって、多分熱ないし。
雨谷さんが顔赤いのは寒いからなのかと思ったけど暖房効いてるし、次の休憩時間にでも聞いてみるか。
——1限終わりの休憩時間にて——
『あの、雨谷さん?』
「は、はい!?」
『そんなにびっくりしないでください』
「え?あぁ、なに?」
『大丈夫?体調とか色々』
「大丈夫大丈夫、だってかわいい虹実ちゃんだから」
『まぁかわいいのは一旦置いておくとして、顔赤いし僕と喋った後から様子が変わったから』
「大丈夫だよ、心配かけてごめんね」
『だったらいいけど、あんまり無理しないようにしてね』
「あ、タメ語になった」
『あ、気をつけます』
「なんでよ」
こんな感じで今日一日中顔は赤いままだったし、授業も心ここにあらずって感じで上の空だったし大丈夫なのか。
しかも今日は速攻で帰路についてたし、ちょっと疲れているのかもしれない。ゆっくり休めていたらいいな。
さて、二十四日の予定はたったのか否か…。
意識してないといえば嘘になるけどまさか雨谷さんの方から予定を聞いてくるなんて思ってなかったから内心バクバクだった。バレてないよね、僕より緊張してそうだったし。
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