失望

「神隠しとしか思えません。」

警察が頭を抱えていた。


あかつきが居なくなってもう三十日をこえた。


最初は駅のカメラに映っていたし、赤月壮太くんが最後の目撃もしていたからすぐに見つかると思っていた。


居なくなった日付と場所がはっきりわかっていて、まったく何も見つからない。


「何度見直しても急に歪んで消えているんです。」

何回見たかわからない駅の防犯カメラ。

改札を通るあかつき。ホームに続く階段を上がるあかつき


急に映像が歪み、その次に消える。


「階段の上にいた赤月壮太さんは、弘宮ひろみやあかつきさんと会えなかったと言っています。駅の階段には別の場所に続く通路はありませんし、落とし穴なんてものもない。引き返した様子もない。

目撃はそれだけです。」

「ずっと同じじゃないですか。」

「それしか言えないんです。それしか無いんですから。」

駅でずっと、探し人のチラシを配る。


最初はみんなチラシを受け取ってくれていた。

テレビにもインタビューされた。

ネットの有名な人もとりあげてくれた。


それは全部利用されただけで、本気で探すものではなかった。


三十日を過ぎるとチラシを受け取る人もいない。

駅員にも、チラシを置く場所を作るから手配りをやめるようにと言われた。


赤月くんも駅に頻繁に通ってくれた。


仕事の通り道らしいけれど、ぴったりあかつきのいなくなった時間の電車にばかり乗っていた。


私は仕事を減らして暁のアパートとバイト先に通った。


誰もいないアパートのドアをノックして耳をすませて帰る。

あの子の働き先に頭を下げて様子も聞いた。


とてもまじめに働いていたと聞いた。


「……もう、どうしたらいいの。」

音のしないアパートのドアの前でしゃがみこんだ。


茜が迎えに来て帰る。



いま茜は、ヒノデを気をかけている。


本当にいい父親だ。





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