喪失


あの子はバイトをしながら、貧しくとも前向きに頑張っているらしい。



あれから、休みに余裕のある時は泊まってくれるようになった。

ちょっとした愚痴をたまに言ってくれる。


お酒を入れようとすると嫌がるけど、おいしいごはんを作って、愛していることをたくさん伝えると、少しずつ滞在期間を延ばしてくれた。


あとは仕送りだ。

体を壊す前に援助を受け取ってもらいたい。

これも素直に伝えてみることにした。

あかつきのためのお金を余らせないでよ。」

「……老後につかえばいいじゃん。」

「それはそれでちゃんとあります。」

「……。」

しぶしぶと、お金を受け取ってくれるようにもなった。



「みつかったよ。

仕事、まだ手伝いだけど。」


報告をしてくれた。


少し進んだ歩みを話すあの子はとても楽しそうで、嬉しそうだった。


代償に腰を壊したり、喘息を発症したり、本当に心配をかけられたけど……。


あの子の仕事先の作品を見せてもらった。

見せているあの子はとても嬉しそうに笑う。


頑張れ。



その一歩を進めている最中。





「無断欠勤をしてから三日連絡がつながりません。

一緒にアパートに行っていただけませんか?」




消えた。





あかつきが、消えた。

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