この陽の中で

影山 みはつ

第1話  心

五郎が「心?何しているんだ?」と2階にいる心に声を掛けた。

心が「今行くよ」と五郎に話し掛けた。

五郎は、早くも朝飯を食べて鞄を準備して姿見で格好を整えて居た。

心は仕方なし、1階に降りていくと朝ご飯を欠伸をしながら食べて居た。

五郎は自転車に乗って、優雅に坂道を降りて行った。

心は、「じゃ、私も支度しないと」と姿見で櫛を持って髪を溶かして居た。

この春から大学生で、自転車に乗ってスイスイと坂道を降りて、真っ直ぐな道を走って行く。

家にとんぼ返りをして、家の鍵を掛けたのかチェックして、入念に家を出た。

心は「じゃ、行くか」と自転車に乗って、再び家を出ると、俊助がこちらを見て居た。

俊助は、何も無かったように視線を逸らし、自転車に乗って走って行き、自転車置き場で荷物を取り出した。

心は「何で挨拶しねーんだよ?お前、さっき私を見て視線を逸らしただろう?」と怒りに任せた。

俊助は「何の事だ?お前が、何か物欲しげに見ているから、こっちも何も言わずにワザと視線を逸らしただけだ」と心に偉そうな口を聞いた。

心は「お前、本当に腹立つ。何で、私の事になるとそんなにムキになるんだよ。素直に私に好きだと認めたらどうだ」と俊助に伝えた。

俊助は、「そんなのくだらないだろう?メロドラマの見過ぎだ」とふんといった態度を取った。

心は「アイツ、ムカつく」と鼻息を荒くして、俊助の素直な助言に耳を傾けようとしなかった。

真紀が「まー、まー。そんなに怒らないで。心は顔が可愛いんだから、怒ったら台無しだよ」と心に素直な気持ちを伝えた。

心が「んんんー、だって、アイツ、いつも私の顔を見ただけでムスッとしているんだもん。たまには笑った顔が見たいわ」と憤慨した。

俊助が「誰が、ムスッとして居るって言うんだ?」とまさかの仁王立ちで前方の進路を塞いだ。

心が「またお前か?そんな事をしたって私の事を理解しようともしない癖に、偉そうに仁王立ちしちゃってさ」と嫌な顔をした。

俊助が「あぁ、そうかよ。お前みたいな分からずやは、誰も歩み寄って理解しようとしてくれないだろうな」と心に声を掛けた。

心は「頭に来た。もう、話したくない」と俊助の側を離れた。

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