第一章 ~『大事な物を失う ★趙炎視点』~
~『
時間が経つのは早く、
それは
「あいつは俺を利用していただけだったんだな……」
薄汚れた路上に座り込み、
「もし
大きな屋敷に住み、
「俺に残されたのは慰謝料の借金だけだな……」
金貨百枚という慰謝料を取り立てるために、
食べ物もろくに口にせず、激しい取り立てとストレスに耐え続けた
「このまま俺は死ぬのか……」
空腹で腹の虫が鳴る。目尻から涙を溢しながら、現状から抜け出したいと渇望する。
そんな彼の前に、突然、一台の馬車が音もなく滑り込んできた。重厚な木製の車体は金色の飾りで縁取られ、その洗練された美しさは場違いなほどだった。車体を引っ張る馬たちは艶やかな毛並みで、上品にその場に佇んでいる。
馬車の扉は御者によって、ゆっくりと開かれる。そこから現れたのは神秘的な雰囲気を纏う絶世の美女だった。漆黒の髪が風になびき、その光沢は月光を反射しているかのように輝いている。
「私は
「お、俺を……」
「後宮で働くつもりはないかしら?」
(俺をスカウト? なぜ?)
心に疑問が渦巻いていくが、その心中を
「なぜあなたを誘うのかが不思議?」
「それはまぁ……」
「理由は言えないけど、あなただからこそ誘ったの」
自分もまだまだ捨てたものではないらしいと、自己肯定感を取り戻した
「その話、受けさせてもらう」
「話が早くて助かるわ。では、これに署名を」
「では、私の部下と一緒に後宮に向かって頂戴」
「あんたは?」
「私は別件があるから、後から追いかけるわ」
そう伝えると、御者が馬車の扉を開ける。
「どうかされましたか?」
「彼はこれから後宮で宦官として働くから。しっかり去勢してあげてね」
命令を受けた御者は馬車を走らせ、石畳を進んでいく。
「不貞で私の大切な人を傷つけたあなたには、相応しい罰になるでしょうね」
「さて、
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