第一章 ~『後宮での日常』~
だがある日を境に、
だが手紙の届かない日々はしばらく続く。
一ヶ月。返信が届かなくなったことで、もしかすると
離縁しよう。そう決めた
ただ何もしないと負の感情は蓄積されていくばかりだ。
墨をすくい、軽く筆を動かすたびに、細い線が美しく広がる。特に動物の絵が得意で、墨の濃淡を絶妙に使い分けられた生き物たちは、まるで生きているかのような躍動感を放っていた。
浮気への怒りの爆発が芸術の才能を開花させたのである。その能力はやがて、後宮に招かれるほどに評価されるようになった。
後宮には皇族だけでなく、多くの人が暮らしている。威圧的な宦官から優しく穏やかな女官まで千差万別だ。そんな中でも、特に
交流を重ねていく内に二人は絆を深め、まるで親友のような関係へと発展する。
(
目に映った
先代皇帝が
事実、
「綺麗に描けているかしら?」
「モデルが素敵ですから」
「お世辞でも
寝台の上に腰掛ける
やがて
乾いた墨がモフモフとした柔らかい印象を捉えていた。
「わぁ~、やっぱり
「私の中でも、この絵はよく出来た方だと思います。モデルの
カナリアのリア、
「この子、本当に大人しいわね」
「優しい子ですから。それにジッとしているようにと約束もしてありますので……」
「動物と意思の疎通ができるのよね。本当に便利な特技ね」
「おかげで動物たちと友人になれるので重宝しています」
動物の鳴き声にはそれぞれ特徴がある。その微妙な差異を感じ取り、相手の伝えたいことが何かを手に取るように感じ取れるのが
この特技を知る者はほとんどいない。隠しているわけではないが、その数少ない相手が
「この絵は飾っておくわね」
「ここがいいわね」
「そんな目立つ場所で構わないのですか?」
「
「ですが、その隣の絵の迫力と比べると……」
「
「この絵を見ていると、九尾の狐が実在したように思えてきますね」
「もし本当にいたら怖い?」
「いえ、恐くはありません。伝承だと、この国を他国の侵攻から守ってくれたそうですから……それに、私はどんな大きい狐でも相手が動物であれば仲良くなれる自信がありますので」
九尾の狐とはいえ、話しさえすれば心が通じ合えるはずだと、
「こんな良い娘を裏切るなんて、
「明日には帰るとの手紙がありました」
「それは楽しみね。どう対処するかは決まっているのよね?」
「はい。浮気の罪を償わせるつもりです」
裏切りを許容するほど、
「離縁するの?」
「そのつもりです。ただ簡単にはいかないでしょうね。なにせ証拠がありませんから」
浮気の調査は小鳥のリアにお願いしており、動物の証言では証拠にならない。裏切りを証明するには、確固たる証拠を突きつける必要があった。
「
「色々と策を講じるつもりです」
「さすが私の親友。報復の結末がどうなるか
楽しみにしていると
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後宮画師はモフモフに愛される ~白い結婚で浮気された私は離縁を決意しました~ 上下左右 @zyougesayuu
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