後宮画師はモフモフに愛される ~白い結婚で浮気された私は離縁を決意しました~
上下左右
プロローグ ~『白い結婚の疑い』~
「俺たちが白い結婚だと疑われているらしい」
世間は心の通わない形式上の夫婦関係を『白い結婚』と呼び、どこか皮肉めいた軽蔑の目で見る。
「事実ですから否定はできませんね」
「まぁ、そうなんだがな……」
ただ今の彼の印象は違う。少し困ったように頬を掻き、戸惑いが仕草に現れていた。
「言いたい人には言わせておきましょう」
「
「陰口を気にすることこそ、相手の思う壺ですから」
薄い青の
「それに結婚したばかりなのも理由の一つでしょうね。時間が経てば、いずれはそういった声も収まるはずです」
「まぁ、そうなんだろうな……」
一理あると納得するものの、
「白い結婚だと疑われているのは俺が平民出身の婿養子なのも大きいと思うんだ」
苛立ちと自嘲が混ざった言葉が虚しく響く。
その家系は、代々、皇帝から統治を任されるほどの権威を誇る。一方、それに対する
何も持たない
そこで白羽の矢を立てられたのが
一方、
次の世代では克服するべく、年齢が同じで、健康で強靭な体を持つ
「でもな、それでも俺は
「愛はこれから紡いでいけば良いのです。私もあなたも若輩者です。時間だけはたっぷりとありますから」
「時間か……俺が生きて帰れればな……」
悲しげな顔で
結婚してから数日で、その不運が
屈強な体躯を持ち、恐れ知らずの戦士であったが、心のどこかで
「手紙を書きますから」
「だが……」
「毎週、欠かさずに送ります。だから安心してください」
「他に魅力的な男が現れても、浮気はしないでくれよ」
「しませんよ。
「俺は
「本当ですか?」
「疑っているのか?」
「
「それは独身時代の話だ。結婚したのだから、俺も大人しくなる」
「信じてますからね」
「絶対に裏切らないと約束する。それに任期はたったの一年だ。帰ってきたら、もう誰にも白い結婚だなんて言わせない。誰もが憧れる理想の夫婦になってやる」
「お体に気をつけてくださいね」
心から無事を願い、彼の手を握り返す。
その後、戦地に赴く
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます