2024.12.26. 13:00

 私達は喫茶店を出た後、近所の公園に向かった。

 この公園は小さめの敷地にあり、ちょっとした山とブランコくらいしかない。


「覚悟してね」


 きょーじゅにそう呟かれ、背中を優しく叩かれた。

 この公園は普段は近所の子供達が遊んでおり、賑わっているが、今日は違った。

 公園の周りに、パトカーが数台止まっていた。


「えっ?」


 警察官達がブランコ周辺に集まり、話し合ってはメモをするを繰り返している。


「……息子さんは、もういないんだと思う」


 きょーじゅがそう言い、スマホの画面を私に向けた。

 画面には、地方のニュースが載っていた。


『◯◯県◯◯市 身元不明の少年 公園で倒れているところを見つかる 凍死か』


 タイトルにある市は、今いる場所だ。

 私は理解が追いつかず、混乱していた。

 嘘……だよね?

 このニュースに載っているのは、政哉じゃないんだ。

 政哉は、きっとどこかに保護されて生きてるよね。


「昨日、この公園で高校生くらいの男の子がブランコの近くで倒れていたの。外は夜は一桁になるし、発見が遅れた影響もあって、手遅れだったみたい……」


 私は目を見開きながら、公園に一歩、また一歩と近づく。


「嘘だ……嘘だ……」


 私は気が付かないうちに、立ち入り禁止のテープまで来ていた。


「すみません、ここは立ち入り禁止です。近づかないようにお願いします」


 調査していた警察官が、私に止まるよう促した。

 私は近づいてきた警察官の肩を掴み、前後に揺らした。


「ねぇっ…! 政哉、政哉は!?」


 私は冷静さを失っていた。


「あ、あの、揺らすのやめて……」

「嫌よ! 政哉は生きてるの!!」

「マナ!」


 きょーじゅが私の腕を掴み、警察官から引き剥がした。


「すみません、この子、実はここで死んでしまった少年の母親かもしれなくて……」

「政哉ぁーーっ!」


 警察官は驚いた顔をしてから、顔を伏せた。


「……少年が来ていたトレーナーに、『せいや』という文字が書かれていたんです。だから、もしかしたら……」

「嘘だ……嘘だ嘘だ嘘だ!」


 私はもう一度警察官に飛びかかろうとした。

 しかしきょーじゅの力が思ったより強く、身動きが取れない。


「政哉は! 政哉は今、どこにいるの!?」


 私が涙を浮かべながらそう叫ぶと、警察官は一枚のメモを渡してきた。


「少年が送られた病院の住所です。それから、少年が息子さんだと確定してしまった場合……詳しい話を伺いたいので、署までお越し下さい」

「っ!」


 私は乱暴にそのメモを受け取った。


「ごめん、きょーじゅ。行こう」

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