シーグフリッド

「っと!それはいいとして・・・ニール賢者の様子を見に行かなくっちゃ・・・!!」と、カレルが洞窟の外を見ると、「おーい」と声がして、ニール賢者がヘラルドを担いでやってくる様子が見えた。

「ヘラルドとかいうコイツ、なんでも盗賊団の重役をつとめていたそうです。俺で片付けて置いた」と、ニール。

「いろいろと聞きだしたいから、手首縛って連れて来た」と、ニール賢者。

「それより、カレル、その黒装束はどうしたの・・・??」と、ニール。

 カレルが、鳳炎剣を手に持ち、にんまりして、微笑む。

「いいだろ、ニール賢者!俺がこの剣に”選ばれた“ってことなんだ!!」とカレルが言うので、ニールは意味が分からず、「は??」と言った。

 ニールが、手首を縛って気絶中のヘラルドをわきに放り出す。町長が、それを眺め、「こやつが悪さをしたのか・・・!!」と怒りの声を出す。

「にしても、カレルさん、ずいぶんとカッコいい服装をしてらっしゃいますね!」と、ブロニフラス町長。

「でしょう??町長さん!!残念ながら、俺の名前は、今日からブラックナイト・カレル・ウルフなんですよ・・!!」と、カレルがにやにやしながら言う。

「オイ、カレル、そこらへんにしとけ」と、ニール。

「だから、ニール賢者、本当に俺は剣に選ばれたんだってば・・・!!!」と、カレル。

「フラウ賢者でも、そんなに剣とシンクロしてなかった・・・」と、ブロニフラス町長が言った。

「え??なんのことです、町長・・・??」と、カレル。

「フラウ賢者が、一度だけ、『僕は剣に選ばれたわけではないんですよ、町長』と、残念そうな笑顔で言って来てこられたことがあるんです。だが、ブラックナイト・カレルさん、あなたはまさしく選ばれた剣士ですな!!」と、町長。

 そののち、3人は、ヘラルドに、盗賊団を連れてこの町には二度と立ち寄るな、さもないと全員殺す、などと脅しを言っておき、ニールは自分が賢者であることを、賢者の身分証で見せて、ヘラルドをおびえさせた。

 ヘラルドを解放すると、下っ端らしく、あっという間に逃げ去った。

 森の中を見ても、みねうちしていた盗賊団は皆逃げていた。

 ニールが、「俺は今晩中、この村に悪人が立ち寄らないよう、結界を張りなおしておきます。二重の結界なら、俺らがいなくなっても、この町は50年は安全でしょう」と、ニール。

 そこで、ニール賢者の結界の張り直しのあと、三人はすみれ姫・ハザリーのもとへ戻ることとなった。

「おい、通りすがりの俺たちが、この町に伝わる大切な鳳炎剣を持ってていいのか・・・??旅に出るとはいえ、この剣を持って行くのか?」と、カレルがニールにそっと呟く。

「そういうカレルは、黒装束のままだな。剣が認めた、という話は信じるが、その装束、解いてみたらどうだ・・・?」と、ニール賢者。

「それもそうだな」と、カレル。歩きながら、少し目を閉じてみる。

(オイ、鳳炎剣の主さんよぉ!!この黒い装族、なんとかならねぇのか?!)と、カレルが心の内で聞いてみる。

(その姿、ハザリー・ヴァイオレットさんに見せてあげなさい)と、鳳炎剣の主(?)、鳳炎剣の鳳凰が呟いた。

 やがて3人は町に戻った。

 カレルは、二人に続いて、ハザリーの部屋に入った。

 剣は、この黒装束をハザリーに見せろ、と言う。何のことか、よくわからない。

 カレルがそっと覗いていると、ハザリーは横を向いて寝入っていた。今日の戦闘で、疲れてしまったのだろう。

「すみれ姫は寝ておられる。明日、その装束を見せてやると良い」と、ブロニフラス町長が言った。

 カレルの大刀は、カレルの代わりに、ニールが背負って持ってきていた。


 “すみれ姫”こと、ハザリー・ヴァイオレットを部屋に残し、3人は居間のテーブルで議論した。

「トリステスについて、アンタらほぼ何も知らない様だな」と、カレルが町長に言った。

「・・・お恥ずかしながら。どうやら、逆さ十字の印のようですが・・・??」

「ああ、タイプによって紋章は違うんだがな!俺とハザリーのタイプ8のは、逆さ十字だな」と、カレル。

「・・・すみれ姫・・・ハザリーのことを、よろしく頼みます。あなた方と一緒にいれば、トリステスを治す方法も、じき見つかるでしょう。というのも、あなた方がおっしゃっていた、医者からのメモ・・・実は、ハザリーの契約している火の精霊は、サラマンダーなのです」と、町長。

「やったな、カレル!ついにサラマンダー使いの魔法使いに会えた!これなら尻尾をもらえるチャンスだ!!」と、ニールセンがやや抑えめな声で言う。

「ええ、サラマンダーは、伝承では、尻尾は切られても1週間もあれば再生する、と言われていますからね。まあ、そこは彼女に聞いてみないと、了承を得られるか分かりませんが」と、町長が笑う。

「了承なら、シーグフリッドに聞いてみないと。彼がいいって言うかしら」と、その時、扉を開いて、左腕をかばいながら、ハザリーが現れた。

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