ただ運が良いだけ(運だけで暗黒騎士から世界を救う!)
八幡太郎
運だけで暗黒騎士から世界を救う!
冬休みで暇となった大吉。
三男の小吉がゲームをやりっぱなしで友達と外に遊びに行っているのを見かけて、試しにゲームをやってみることにした。
「なんだこのゲーム。えーと、ここは騎士の世界、ダークエルフの騎士をコロシアムで優勝させてしまうと闇落ちして暗黒騎士になり世界を滅ぼすから、君がこの騎士を闘技場で阻止せよ!だって……」
大吉はつまらなそうなゲームだなと思いながらも、やってみることにして設定をしてみる。
「えーと、騎士対騎士ではつまらないから、テイマーにするか。テイムできるのは……」
ちょうど小吉の部屋で昼寝をしていた飼い猫ラッキー(オス・3歳)を見かけて、猫をテイムと設定する。
「あとは特殊能力はこのふざけた『ラッキースケベ』の能力でいいや……」
完全にふざけて設定して、ゲームを始めようかとした時、突如地震が起き、本棚の上に置いてあった段ボールが落ちてきて大吉とラッキーは段ボールが頭に当たり気絶する。
「痛てて、ここはどこだ?」
大吉とラッキーが目を覚ますと古代ローマの闘技場のような場所におり、目の前にはビキニアーマーのダークエルフの騎士が剣を構えて立っている。
「え? え? ちょっと待って何これ」
大吉は驚くが、ダークエルフの騎士は猫をテイムし、鎧も着ずにジャージ姿の大吉を見て、何やら気分を害している模様。
「おい、少年、私を舐めるなよ!」
ダークエルフの騎士はいきなり斬りかかってきて、大吉とラッキーは闘技場を逃げ回る。
「おい、逃げずに立ち向かってこい!」
ダークエルフの騎士は大吉やラッキーを斬ろうとするが、どちらも持ち前の幸運値のおかげで剣がかすりもしない。
「くそ、逃げてばかりで攻めてこないとはふざけた戦士だ!」
ダークエルフの騎士は大吉とラッキーに斬撃を放つが、大吉とラッキーは左右に分かれて必死に逃げる。
「ヤバい、ヤバい、これゲームの中だろ……。能力はラッキースケベしかないしどうしよう……」
大吉はふざけて設定したラッキースケベしか特殊能力がなく、ダークエルフの騎士の剣を避けた際にうっかり胸を触ってしまったり、小石につまずいて前に倒れた時に抱き着いてしまったりしてしまい、ダークエルフの騎士を更に怒らせてしまう。
「き、貴様、絶対に殺してやる!」
大吉とラッキーは壁際まで追い込まれ絶体絶命になるが、大吉はラッキーだけでも逃がそうと、ラッキーを掴みダークエルフの後方に投げる。
しかし、ラッキーは落下直前に、何かに掴もうとし、うっかり爪でダークエルフの騎士が来ていたビキニアーマーの背中のホックを外してしまう……。
服が脱げそうになり、その場にダークエルフの騎士はしゃがみこんでしまい、そのまま戦闘不能とみなされて、大吉とラッキーの勝利が闘技場内にアナウンスされる。
「こんな辱めを受けるとは……。しかし、わたしも思い上がっていた。お前たちのような強い戦士がこの世にはまだいるのだな……」
こうしてダークエルフの騎士は自らの未熟さを悟り、闇落ちして暗黒騎士になることなくこの世界は救われた。
一方の大吉とラッキーは元の世界に帰れないと心配していたが、闘技場を出る際の階段を踏み外し、転落したかが、目が覚めると小吉の部屋に戻っていた。
「助かったぞラッキー! お前、よく頑張ったぞ!」
大吉はラッキーを抱きかかえ、喜んでいるが、そこに小吉が帰ってきて、ゲームを
勝手にやられていたことに大泣きし、大吉は母親に説教される。
そして、説教されている後ろのテレビ画面にはゲームのエンドロールが流れており、ダークエルフの騎士が大吉とラッキーに『ありがとう!』と話している映像が流れているのであった……。
ただ運が良いだけ(運だけで暗黒騎士から世界を救う!) 八幡太郎 @kamakurankou1192
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