ショットショットテリー

エリー.ファー

ショットショットテリー

 頼むぜ、ここが勝負所なんだ。

 負けたら裸で帰ることになっちまう。

 すべては賽の目次第。

 生きるも死ぬも、ただの数字。

 いやぁ、参ったね。

 俺は、ここで死ぬ運命なのかもしれない。

 でも、まだいい女も抱いてないし、このまま死ぬなんて受け入れられない。

 みんなもそうだろ。

 なぁ、そうだろ。

 流石に生ききって死にたいはずさ。

 打ち込んだ魂と、その音が、俺の心を今日も振るわせてくれる。

 たとえ、下らないギャンブルだったとしても。

 所詮は、勝ち負けなんて二の次の問題を探すためのジャズタイム。

 なぁ、ショットショットテリー。

 お前なら、どうするんだろうな。

 ここで、一発キメにいくんだろうな。

 いやぁ、俺は無理さ。

 俺は、そんな器じゃない。

 ショットショットテリーなんて名前は、俺の体には入ってこないよ。

 もう、敗北濃厚。

 勝利が遠くに感じられる。

 音が聞こえる。

 そう、悪魔の足音だ。

 何もかも、忘れて消えてしまいたくなるような夜をギャンブルで埋め尽くすのが一番最高なんだ。

 なぁ、そうだろう。

 みすぼらしい身なりに、俺とお前で作り出したこの町の光が似合う。どんな宝石だってかないやしない極上の欲望。

 俺は、俺はさ。

 ショットショットテリー。

 お前から、そんな下らないことの一つや二つ、いや、三つ四つ、いやいや、百や千。

 多くを学んだんだぜ。

 だから、ここで負けてもいい、なんて。

 思わないぜ。

 だって、そうだろ。

 ギャンブルはいつだって、勝って終えること。

 それが、お前が俺に教えてくれた大事なことだった。

 どんな小さな勝ちでもいい。 

 その小さな勝ちが明日を間違いなく作り出してくれる。

 なぁ、そのはずだろう。

 ショットショットテリー。

 俺には、お前が必要なんだ。

 俺には、何もなかったんだから。

 こんなちっぽけな光の中で死んでいくはずの命だったんだから。

 ショットショットテリーなんて、呪いそのものさ。

 ショットショットテリーは、ショットショットテリーに殺された。

 もしかしたら、俺も殺されるかもしれない。

 そんな勘違いの中にまみれて、明日を生きていく。

 そう、覚悟を決める。

 俺の過ごして来た時間は、つまり、そういうことの連続だった。

 哀れだと、誰かが言った。

 構わなかった。

 別に、どんな言葉を投げつけられても、俺は、俺を失わなかった。

 何故だか、分かるかい。

 ショットショットテリー。

 お前がいたからだよ。

 お前と一緒に命を燃やした時間があったからだよ。

 気を付けて帰れ。

 そんな言葉を吐き捨てるお前の口の動きを目に焼き付けたからだよ。

 その言葉を、心に刻み込んでここまで歩いて来たからだよ。

 なぁ、ショットショットテリー。

 俺の中にいるショットショットテリー。

 答えてくれよ。

 俺は、間違ってなかったよな。

 俺が、ずっと歩いて来たこの道は、俺のための世界だったよな。

 俺は。

 俺は、最後に。

 お前を裏切って。

 お前を殺すことで。

 お前を背中から撃ち殺すことで。

 俺を、この社会に刻み込んだけれど。 

 でも。

 俺は、自分のための言い訳を作り出すことができたよな。

 なぁ。

 ショットショットテリー。

 俺は、お前から、そういう生き方を学んだんだぜ。

 だから、悔いなく。

 俺は、このギャンブルに挑むよ。 

 最高に派手な負け戦を楽しんでくるよ。


 すまなかった。

 ショットショットテリー。

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