ペット日記

木手 蘭吾

第1話 自己紹介&欲望を解放する瞬間の顔

 言うは易く行うは難し、という言葉がある。

 この格言の意味を痛感したのは、つい最近のことだった。甘い気持ちで飛び込んだネット小説の世界。そこで自分は完全に行き詰まってしまったのだ。

 正直、自分は人より小説を読んでいる自信があったし、文章を書くのも好きだったから、なんとかなるだろうと考えていた。でも、なんとかならなかった。

 話の展開がこれでいいのか、とか自分の文章に対する小さな違和感などに囚われて、筆が全く進まなくなってしまったのだ。

 一番の問題は、文章を書くのが苦痛になってしまったことだ。自分のためではなく、自己顕示欲、承認欲求のために書いているような気分にさせられる。

 そこで、初心に立ち返って、雑文を書いてみることにした。


 僕は今高校二年生で、富山県に住んでいる。僕のペットは以下の通りだ。

 蓮⋯御年七歳の秋田犬。女の子。秋田犬なのに小さい(二十キロいかないくらい)。かわいい。

 あんこ⋯キジトラの雑種。女の子。ガソスタで拾われた子。かわいい。

 菊花⋯茶トラの雑種。男の子。友達から貰った子。かわいい。

 結論 : うちのペットは世界一かわいい。

 ということで、これから気の向くままに我がペットの可愛さを語っていきたいと思います。


 今日は、ペットのトイレについて語ろうと思う。より具体的に言うと、「ペットがうんこするときの顔が可愛い」という話だ。

 秋田犬の蓮は、あまり顔を見せてくれない。あまり人の側で出したくないらしく、こちらが近づくと逃げていってしまう。排泄の邪魔をするのも可哀想なので、僕は彼女が出しているときの顔をまともに見たことがない。

 キジトラのあんこは、なんというかキリリリリ、とした顔をしている。オノマトペを使わずに表すなら、怜悧、という表現が一番似合うだろうか。目は虚空を見つめ、口元は固く引き結ばれて、彼女のイケメンっぷりを際立たせている。

 茶トラの菊花の顔が、傍から見ている分には一番楽しい。彼は何故か目をしょぼしょぼさせるのだ。口元もゆるい。目元もゆるい。「溜めていた欲望を一気に解放させた顔」というのが適切な、見事なまでのアホ面をしている。

 

 というわけで、「うちのペットはうんこしてる時もかわいい」ということを主張したかっただけの文でした。ここまでこの駄文を読んでくださりありがとうございます。ペットがいらっしゃる方は是非、その子がうんこしてるときの顔を教えてください。

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