見ている

 ボクがきみのことをこんなにも想っていたなんて、きみは知らないでしょう。


 ある日、突然

 きみのいない世界がやってきた。

 その衝撃をボクはどう越えていけばいいのか、わからない。


 きみはボクのことなんて、知らないと言うでしょう。

 ボクが一方的にきみのことを想っていただけだなんて、

 もしかしたら、気持ち悪がられるかもしれない。


 だから、

 きみはボクを知らないでしょう。


 毎朝、同じ電車の同じ場所。

 いつも、同じ駅で乗って同じ駅で降りる。


 きみの制服姿。

 ボクが知っているのは、きみの横顔。

 少し俯きがちで、手すりに掴まって立つ姿。

 背負った鞄。校章に記されたアルファベット。



 きみのことを

 ボクはもっと知りたかったな。


 きみが雪に埋もれるならば、

 ボクは、その雪になってきみを抱きとめたいよ。

 きみが雪にとけるなら、

 ボクは、溶けた雪ごときみを抱きしめるから。


 ああ、

 逃げていかないで。


 ボクは、ずっと ずっと きみを見てる。






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