モコロー番外編3 クリスマスの夜に

まめでんきゅう–ねこ

W1 ウィンタウン

宇宙のどこかの星[モンスター]。

この星には様々なモンスターが暮らし、文明を築き上げてきた。



ある雪が積もる冬の日。


モンスタウンという街からモコローという大学生が、北の島ウィンターアイランドという観光地へ旅行に来た。

彼はオレンジのボールのような体の一頭身のモンスターだ。

驚くべき事に、指で象った鉄砲で撃った相手の能力をコピーできる能力を持っている。そのコピーの内容によって、性格が変わってしまうのだ。要するにキャラ崩壊しまくりである。


そんなモコローが訪れた北の島が、ここウィンタウンという街。永遠の雪に閉ざされた場所と呼ばれており、春も夏も秋も関係無くずーーっと雪が降っている。


ヨーロッパのような雰囲気で、少し田舎というか…大きなビルや公園は無いものの、雪で真っ白な地面と茶色いレンガの建物がモコローを興奮させた。


「すごい、雪を見たのは久しぶりだよ!早速アイスキャンディーを食べよう!」


彼は大好物のアイスキャンディーをクーラーボックスから取り出し、何の躊躇いも無く頬張った。


※街の現在の気温、−25℃。


「おぉ、寒い場所で食べるのも良いねぇ。体の芯からヒンヤリするよ〜」


「君、よくこんな場所でそんなアイスを食べられるな…」


住民と思われるトナカイのモンスターに声をかけられるモコロー。


「まぁ僕は子供の頃から外で過ごしてきたからね」

↑モコロー


↓トナカイ

「へぇ、肝が据わってるな」


「それで思い出したんだけど…この街って確かとかみたいな噂がネットで流れてたんだけど、こんなに寒いし全然消えてなさそうじゃん」


「いや、消えたのは確かだ」

「え?」


「ここ最近、急激にこの街の気温が上がったんだよ。まぁ旅行客からすれば…−25℃とか上がってないだろと文句言いたくなるだろうけど。

元々はもっと寒かったからね。最高-40℃だったから結構上がってるんだよ気温は」


「やっぱり温暖化が原因なのかな?」


「そうは思わない。この地方は他の地方と比べて特別寒いから、そう簡単に気温が上がるとは思えない。今年になって急激に上がった。

それに、この島は冷たい空気でバリアのように囲われているから、暖かい空気が流れてこないんだよ」


「となると原因は?」


「おそらく魔王だ。この街の近くの山の上にある城に住んでいて、クリスマスが大嫌いらしい。

そいつが最近、新しい魔法を開発したようで、それで気温が上がったんじゃないかと俺は考えてる」


「なぁるほどねぇ…」


「俺は今から魔王のいる山の上の城へ行くつもり。君はこの街に来て何するつもりなんだい?」


トナカイが尋ねるが、モコローはキョトンとした顔で言った。


「特に何も決めてないけど」

「はひ?」


「何も決めてない」

「マジかよ」


「でも僕が出会ってきた魔王って、どれもこれも魔王向きじゃない性格してるからなぁ…一回その魔王と会ってみたい!」


「ふぇ、確かに魔王って異世界へ進軍しても結局向こうの世界の勇者に倒されてるからな。まともな奴が就く仕事じゃないよw」


「僕も子供の頃は魔王に憧れた時もあったな…まぁ良いや、僕も気温を取り戻すのに協力するよ」


「へぇ、君…名前は?」


「モコローだよ。君は?」


「俺はクリス。サンタクロースの弟子だが、今年は休みをもらったから基本的に暇だ。

君のような未来ある若者に危険な旅をさせる訳にはいかないよ。この街を思う存分楽しみな!」


「大丈夫、今まで4回くらい事件を解決してきたからね。

あと暇だし」


「おい観光地の住民に向かって暇とか言わない約束だろ。

旅の途中で、どうなっても知らないからな⁉︎医療費とか絶対に出さないからな⁉︎」


初対面なのに急激に仲良くなった2人は、街を出た。

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