僕が失明するまでの話

古成おこな

ビカビカ光るまぶしいやつ

いつも通っている道なんだけど、ふと、本当に何の理由もなく、ちょっと別のところで曲がってみたんだ。どうせ元の道に戻ってくるし。そうしたら、わ、と僕は心に思った。ビカビカ光るまぶしいやつが、石の階段に腰かけて、物思いにふけっているんだから。


そいつのことは、僕はよく知っていたから別に、自体に驚きはしない。


そいつは僕の頭の中にだけいる、いわゆるイマジナリーフレンドだった。名前を付けるのもなんだか恥ずかしいから、「友達」と呼ぶことにしている。僕が驚いたのは、「友達」がそうやって、僕の知らないところで、勝手にしてたってところなんだ。たまたま曲がった先の道で、考え事なんかしちゃって。


それも、何を考えているか分からない。僕の中の人格のはずなのに、僕に分からないことを考えてていいのかな。とにかくぞっとしてしまったんだ、そのとき。


興ざめだった。その日は学校で良いことがあって上機嫌だったのに。実は、密かに思いを寄せていた女の子と、初めて言葉を交わしたのだ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る