第2話 目覚め

--睡魔の暗闇から思考が浮上して最初に感じたのは体の熱さだった。熱い所を触ろうとしたが、なぜか手が動かない。最初はその事に疑問を感じたが、、なんのことはない、腕ごと腹の下に埋もれていただけだった。手を動かす為に上半身を起こした辺りで、簡単な言葉を話せるくらいには思考が回復したようだ。「んぁ?ねてたにょか?ひや、たおりぇた、、にょか?」我ながら酷い滑舌の悪さだと思ったがその直後に口の中に鉄の味が広がっている事に気がついた。それが一体何なのか確かめようと手で口内を触った。「こりぇは、、、血ぃっ!?あでぇ」驚いたせいで口内の痛みを自覚してしまった。物心着いた頃から血が大嫌いな俺は咄嗟にこれ以上の出血を避けるために涙目で出血箇所を探した、、、舌だ、舌から血が出ている。舌の右側の端っこから血が出ているので倒れた時に噛んだのだろうか?だが幸いにもあまり大きい傷ではなさそうだったのはよかった。上着で舌を包んで止血しようと服を掴んだところで気がついたのだが、服には土がついているし手の甲にも擦り傷がある。それに気がついたのと同時に頬や耳、側頭部の痛みに気がつく。それから三分ほど出血箇所の確認をした所で、どうやら側頭部と頬から血は出ていないが舌の他に右耳と右手に擦り傷が見受けられた。だが、どれも絆創膏を貼らずとも一週間以内に治るような傷だったので、一番痛い部分である舌を止血する為に、胸の部分の服で包んだ。幸いにも土埃は内側までは染みていなかったのでウイルスなどで膿んだりしないだろう、たぶん。そもそも舌は膿むのだろうか?まあいい、そんな事よりも公園の水飲み場で傷口を洗うことの方が先決だと考え、色褪せない体の痛みに耐えながらのっそりと立ちあがり、初めて辺りの風景を直視した、、、、、、、「ふぁ?ふほへ?」舌を包む服のせいか、さっきから知的生命体とは思えないほど意味のない鳴き声をあげている俺だが、そんなことよりも大事なことが俺の目の前に存在する。確かに傷口を洗える水はある、あるのだが、なんと言うべきか、、未だ涙でぼやける俺の目の前に広がるのは公園の遊具やベンチ、水飲み場などではなく、、、、、湖だった

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