エクストラ 美玖の追憶(5)<本編第3幕>
寝姿勢に違和感を覚えて目を覚ましたよ。
それにしても……横抱きに抱えこまれていたからか、夜遅くまでヨシ君と戯れたからか、ダルさで体が重かったな。でも心は温かかった――やっとやっと
ジッと寝顔を見ながら昨晩を思いだしたよ。子どものころは美玖がヨシ君を丸裸にしたっけ。イヤそうな表情をされたから、おもしろがって隅から隅まで見せたもらったね。お礼に美玖を見てもらったけれど、ヨシ君はすごく遠慮がちだったね。
『おあよ』
おはよう――とびっきりの笑顔を向けたわ。ゆっくりと目を開けたヨシ君に微笑みかけたら、寝ぼけたあいさつが帰ってきたからね。そしたらヨシ君のお顔はみるみる真っ赤に顔を染まったね。
『…………』
黙りこんでどうしたの?――ヨシ君も思い出してくれたようで、それがうれし過ぎてからかってしまったよ。昨夜の体験がどれだけ素晴らしかったかは、本当はニマニマしているヨシ君の表情が表してくれたね。だけど内心を感じとられて、ごまかそうとしたよね?
『風呂はい……いや、美玖が先に風呂行けよ』
ええー、二人で行こうよ、子どものころみたいに?――はずかしくて言いなおしたことが分かったから、もっとかイジワルしてみたの。もう隠すところ何てお互いになくなったよねって。
『バカ言ってないで、先行ってこい!』
でもヨシ君がまくらに顔を押しつけてしまったから、ここまでだと思ってそおっとお布団を抜けでたんだ。
◇◆◇
学校の支度を整えて朝食を二人で食べたね。食卓にはヨシ君のお母さん――安子さんもいて、美玖たち二人の間に感じとれたものがあったみたいで――
『あらあらまあまあ、ヨシヒコ良かったじゃない』
『だっ、まっ、れっ』
からかうではなく祝福をくれたけれど、ヨシ君は冷たくあしらったよね。おかげで美玖はお願いされちゃった。
『こんな子だけど、美玖ちゃんよろしくね♪』
はい!――元気よく答えたら、ごはんがとても美味しかったな。その後二人で美玖の家に寄ったみたけれど――
行ってきます――お母さんに二人で声をかけた。でも――
『…………』
お母さんは少しの間だけ目を丸くしただけで、背中を見せてしまったの。機嫌でも損ねたかと思ったけれど、時間もあまりなくて家を後にしたよね。
◇◆◇
家を出てしばらくして、ヨシ君の口数が減ったね。気分が高まって忘れかけていたけれど、問題は解決していなかったから。
信じてもらえたかな?――美玖から切りだしたよね。ヨシ君の疑念が解けているか知りたかったからね。でもそれは限定的そうだった。
『ああ……今のところはな』
じゃあ、問題ないよね?――今までを認めて欲しかったから問いを重ねたの。そしてこれからも、美玖はヨシ君と共にあって、美玖の希望にも寄りそって欲しいと願いを込めて。けれどヨシ君は容赦がなかったんだ。
『いや、未来に保証はない』
やっぱりダメかな?――美玖にとってままならない状況に変わりなかったから、問いかえしてしまった。でもヨシ君は遠くに視線をさまよわせて押しだまったから、不安だけが募ってしまったんだ。やっと口を開いたヨシ君の表情には、美玖の願いは届いていないように見えた。
『…………たぶんハルが保たないさ』
そっか……分かったよ――まるで片翼を失って落ちる鳥のような、あきらめ交じりで追随したんだ。前に友達から言われた言葉が、美玖の中でリフレインしていたよ。
ハル君に連絡を取ってみるよ――ヨシ君はケンカ中だから美玖が役目を買ってでたんだ。うなずいてくれたヨシ君の隣で、内心を隠すように背をむけてメッセージアプリを操作した。
◇◆◇
お父さんの町工場近くにある、みんなの思い出が残る公園でヨシ君と二人で待ったよね。それから十五分ほどしてハル君がやって来て――ヨシ君を目にして険しい顔をしたんだ。
『……二人して呼び出して、何?』
『美玖のアルバイトのことだ』
男の子二人の間には早くも険悪なムードが漂いはじめたの。このケンカムードを止めたいと思ったよ。けれど美玖のわがままのせいだから、何も言いだせなかった。
『ああ、ヨシにバレちゃったか。それで?』
『もう、終わりだ』
両腕を広げておどけて見せたハル君に、ムッとした表情をくずさないヨシ君が言葉を返した。けれどハル君は余裕の表情を崩しもせずにいたね。ヨシ君が言いそうなことは、予想できていたんだと思ったよ。そして確認は当たり前というように、美玖に視線を向けて本心を質してきたの。
『ヨシがこう言ってるけど、美玖ちゃんはそれでいいわけ?』
こくりとだけ、うなずくいた。それで十分だと美玖は思ったんだ。けれどヨシ君には不十分だったよね。
『美玖もはっきり言ったらいい』
お世話になったのに……ごめんなさい――促されるままに口が開いて閉じたの。口にしたくなかった美玖の思いと裏腹にね。これで三角形のひび割れは戻らないと理解して、涙が出そうになったからうつむいたんだ。
『はああああああ…………もう少しでイケると――』
『何をだ?』
美玖が表情を隠したせいでハル君の様子はあまり分からなかった。ただ、不機嫌に残念がることを装っている気がしたの。ヨシ君を今度こそ爆発させようとでもいうように。おかげでヨシ君も語気が強くなっていったね。
『――決まってんでしょ? 美玖ちゃんを奪って、ヨシを悔しがらせられたってね』
うすうす気づいていたけれど、ハル君の告白はショックだったよ。でも視界に映るヨシ君の手は、グッと力が込められても抑えられいてたんだ。それだけヨシ君は耐えてくれていたから、美玖はうれしくて顔を上げたの。
『言うつもりはなかったが、この際伝えておく』
『何を?』
まだ冷静でいるヨシ君に、ハル君は機嫌をそこねたような顔をしていた。
『美玖と……もうシタということだ』
『はあああ?』
ヨシ君の宣告に、今度こそ驚きを隠せないハル君がいた。自分たちはまだまだ子どもだと、ヨシ君が時どき自分で言った言葉だったね。その意志を曲げさせた元凶を特定しようと、ハル君は目を閉じて沈黙した。それはほんの数分して終わりを告げた。
『美玖ちゃんはそれで良かったの? 結局、ヨシがよかったの?』
そうだね――ハル君の固い発声におびえて、蚊の鳴くような答えになったよ。そもそも美玖から誘惑するとは、ハル君でも持ちえなかった印象なのだと思った。だからこそ、ハル君の失望のほとんどが美玖に向かってきた。
『ちっ! こんな鈍感のどこがいいんだか?』
そして返す刀のようにヨシ君へ顔を向けて――
『ヨシは鈍感だから知らないでしょ?』
『何のことだ?』
ハル君の語りが別方向に飛んだことで、ヨシ君が身構えた。
『美玖ちゃんは大人気なんだ。上級生たちにも知られるぐらいにね』
時どき遠慮なく見られている経験はあった。すれ違った女子に少しばかり好奇心が働いても不思議はないと思うようにはしていたけれど。
『女子人気の高い、バスケ部の大エース様からも標的にされてんだよ?』
ハル君のいう大物さんとは言葉をかわした記憶はなかったはずで。美玖が知らない話を、なぜハル君が知っているか気になった。
『ヨシなら簡単に奪える――そう吹聴してる女子生徒が、ヨシの教室にいるんだ』
ハル君のお話は衝撃的だった。それは美玖とヨシ君の関係破談を願った生徒が、同じ教室にいたということだったから。
『動機はただのやっかみでしかない。だけどヨシは自分だけで気付けたか?――いいや、出来ないよな?』
強くこぶしをにぎり、かみ合わせた歯から音をたてながらも、ヨシ君はハル君の憎まれ口にガマンしていた。
『そんなんじゃ美玖ちゃんを守れない――美玖ちゃんとは釣り合わないんだ。ヨシでは頼りない――』
『ハル! てめぇ!』
ハル君は薪を火中に投げ込むようにヨシ君を挑発し続けたね。そしてヨシ君も忍耐力を超えてしまったんだ。ただハル君はお見通しとばかりに避けてしまったの。
『おっととと――』
ヨシ君、ダメだよ――慌ててヨシ君を止めようと間に割って入った。抱きとめたヨシ君の体は小刻みに震えていたね。
『まったく成長しないね? そんなんじゃ美玖ちゃんを守れやしないよ?』
『守れる! 守れるって決まってる!』
ハル君の挑発はボルテージをさらに上げた。ただヨシ君は追いこまれても主張を曲げなかったね。その想いは美玖もうれしかったけれど――
『はいはい、誇大妄想もいいとこだね。自分も、自分の周りも見えちゃいない。だいたい美玖ちゃんのお家の状況――』
ハル君、もういいでしょ?!――美玖のお家のことにまで及びだしたから、ハル君を制止するように叫んだんだ。ヨシ君には美玖のお家のことで、今以上に負担を掛けたくなかったから。それはハル君も意思をくみ取ってくれた。けれど――
『……そうだね、ぼくら子供には簡単じゃないね。だから美玖ちゃん、また頼りたくなったら、いつでも言ってきてよ』
『ない! そんな時は来ない!』
それでもヨシ君をあおることは止めてくれなかった。ヨシ君もヨシ君で怒りが収まらなくて、短絡な思考になっていたよ。
『ヨシには言ってないよ、例え――イヤいいさ、やってみなよ。出来やしないと思うけどね』
ハル君は最後までヨシ君を挑発して、足早に公園から去って行った。そして二人の男の子の間で、美玖は途方にくれたんだ。
◇◆◇
『朱美君、今さら須賀谷君に立てるモノはあるのかね?』
『……俊郎さんは……良き……夫です……馬鹿……には……しないでくだ……さい』
あの大ゲンカからしばらくした日、学校から帰宅すると玄関ドアのカギがかかっていなかったんだ。不審に思ってそっと押し開けると、話し声が聞こえてきたの。それはお母さんと――佐賀美のおじさまだった。
『そうであれば命を失うこともなかった、と思うがね』
『…………』
話が続いているようだったけれど、お母さんの息づかいが変に思えたから――
ただいま――思いきって声を出したの。そうしたら慌てるような物音がした。気になって二人が居るだろうリビングに顔を出したんだ。
『この話はもうよい。今日は伝達があって来た。美玖君も聞いていきなさい』
佐賀美のおじさまは三人掛けのソファーに座りくつろいでいたね。けれどお母さんは、おじさまの対面に置かれた一人掛けのソファーで身繕いをしていたの。
『須賀谷君の残した工場の整理も終わりが見えた。となれば、この家に君たち母娘をいつまでも置いておくわけにもいかなくなった。ついては転居先を早急に探してもらいたい』
とうとうこの日が来たとのかと思ったの。佐賀美のおじさまは、社長なったと自分で知らせに来た日から時どきやってきてはいた。ほとんどは美玖が学校にいる時間にきていたけれど。
『……期限は?』
お母さんが絞りだすような声でたずねた。
『三か月後だ。資金は必要だろうから、残る給与には色を付けておく』
『……感謝いたします』
友人関係で悩んでいたところで、引っ越しという大きな出来事が増えてしまった。おかげで美玖はめまいを覚えた気がしたんだ。
『ところで美玖君。勧告を聞き入れてて
そんな時、唐突に美玖へと話を振られて驚いた。佐賀美のおじさまはアルバイトのことを知っていたのかと。いくらハル君がいいところの子どもだとしても、簡単にお金をだせるわけじゃないことぐらいは知っていたつもりだった。。今まで考えもしなかった美玖自身にあきれてしまったんだ。
最近、ヨシ君とケンカになったのもあって、ちょっと疎遠に――おじさまの眼光が鋭くて、嘘は言えなかった。
『やはり母にして娘か。失望したよ』
意味深な言葉を受けて思考がそちらへと行ってしまった。その間に佐賀美のおじさまはリビングを出て行ったんだ。慌ててお母さんが見送りについていくところを、ぼんやりと見ているだけになったの。
◇◆◇
『そうか。悔しいな』
退去を言い渡された次の日、学校帰りに公園に立ち寄ったところでヨシ君に伝えたんだ。
『引っ越し先の目処はついてるのか?』
ないね――ありのままに首を振ったよ。今日から探してみるってお母さんは言っていたけれど。美玖の返事に、ヨシ君が考え出したよね。そして出た言葉は――
『うちに来ないか?』
そんな、悪いよ――美玖一人がお泊りさせてもらうだけでも、気を使ってもらっていたんだから。そこに収入のなくなるお母さんまで加わっては――特にヨシ君のお母さんの安子さんに申しわけが立たないと思ったんだ。
『説得してみるから、早まらないでまっていてくれ』
待って――慌てて言葉をかけた。けれど、すぐさまヨシ君は走りさってしまった。何を早まるのかと美玖が疑問を覚えもしないように。
◇◆◇
『昨日の話だけど、許可は出たんだ……』
昨日と同じように連れだって学校帰りに、同じ公園に差しかかったところでとヨシ君に誘われた。
『父さんが何故か浮かれててさ』
住居問題が早くも解決するのかと驚いていたら、歯切れが悪くなった理由を話しだしてくれたね。
『ちょうど次の仕事が決まったらしい』
それはよかったね――普通に良かったと思ったよ。お父さんの町工場を辞めてからここまで、ヨシ君のお父さんは無職だったから。
『物置にしてる部屋を空けるからって、父さんは言ってる』
ごめん、お母さんに聞いてみないと――とにかく急すぎたから、お母さんをだしにしたんだ。ところがヨシ君も浮かれていたようで、美玖の言葉は届いていなかった。
『美玖は僕と同じ部屋にしないか? 一人部屋にしては広い部屋だったしさ』
ヨシ君、美玖のお話聞いてる?――ジト目にして少しきつめの声にして、前置きを入れて。
えっちしたいだけじゃないよね?――ヨシ君に警告した。ピシリとでも音がしたように、ヨシ君の動きは固まった。
『いや、そんな、ことは……』
あきれのため息がもれてしまった。でも、しどろもどろなヨシ君をかわいく感じられて、少しだけ前向きになれたよ。だから、お母さんをたきつける方向で話を伝えようと思ったんだ。
◇◆◇
引っ越し以前から――お父さんの四十九日が過ぎたころには、転校のお話は出ていたね。お財布事情は美玖のところもヨシ君のところも芳しくなかったから、学費も節約しなければというお話になっていたんだ。
私立の中学校へは電車に乗って通学していたから、余計にお金も必要だった。それもあってご近所の市立中学校へと転校することになったね。知りあいもいなくて心細いと思っていたら、ヨシ君とは教室が違ってしまったから、よけいに寂しく思っていたの。それで登下校くらいはいっしょにしようってなったけれど――
『美玖はすぐに友達できたよな』
転校数日後の下校のときにヨシ君から恨めし気に言われたね。ただ女子特有の社交があるから、友達を早く作っただけだったのだけど。
ヨシ君からは話しかけないの?――私立校のときは男友達がいたから、ヨシ君にもすぐできると思っていた。でもヨシ君はうなるだけだった。
『話しかけてくれたヤツは何人かいた。ただ美玖を紹介しろっていうヤツばっかりでなあ』
しばらくして状況を話してくれたのだけど……どうも美玖から新しい友達に打ち明けたヨシ君とのお話が、まわりめぐってヨシ君に届いていたようだった。
ごめんね、新しいお友達にはヨシ君のことは話していたの――謝罪といっしょに、お話半分になったのだろうと説明したんだ。
『そうか……なら僕も美玖との関係を周りに話すよ。前の学校のようになってからでは、遅いかもしれないしな』
ありがとう――ヨシ君も目を光らせくれるというのでお礼を返した。でも、不意に思ったんだ。こんな時にハル君ならどうしていただろうって。ハル君が近くにいないことで、少し寂しく思ってしまったの。
◇◆◇
ヨシ君のお家に間借りする話は、少しお母さんが反対しただけでまとまってしまった。最終的に説得したのはヨシ君のお父さんのようだった。ただ学校へ行ってる間の話しあいだったらしく、母娘二人だけの住まいを考えていたお母さんが意見を替えた理由は分からなかった。
そして美玖がヨシ君と同部屋になることは――ヨシ君のお母さんの安子さんが反対していた。けれど部屋を真ん中で間仕切りすることで、ヨシ君は意見を押しきってしまったね。
どうも仕切りを恒久化して、どちらのスペースへも直接出入りできるドアに変えると大見得を切ったらしかった。お金をあまり使わないヨシ君が自身で負担すると約束したからだと、自慢気に語ってくれたけど……
ただ今のところの仕切りはカーテン一つだけだったから、壁ほどには信頼がないなと感じたし……これまでのお泊りとは違う緊張感で最初の夜を迎えたんだ。
『……えっと、今日から、よろしく』
こちらこそ、よろしくお願いします――今までもお泊りのときに、いっしょに眠ったベッドの上であいさつを交わしあったね。
『あー、これって、初夜ってやつか?』
結婚はまだしてないよ?――
『記念に今日はシよう』
美玖をあっという間に抱きよせて、口づけてくれたね。初めての夜から何度かしてきたから、お互い上手になったなと思った。それから美玖に回した腕を違うところにあてがって、美玖も導くように態勢を変えたよね。次第に息づかいが荒くなってのめり込んでいったよ。ただ――
これから幾度この夜を過ごすのだろうと、頭の片すみで考えていたんだ。
◇◆◇
ヨシ君とのシェア生活を始めて一月経ったころ、モヤっとした思いを胸に秘めるようになっていたんだ。それで何気なくを装って、お昼の休み時間に新しくできていた女友達に聞いてみたの。
『あー、お姉ちゃんが言ってたことに似てるね~』
お姉さんが居るんだ?――会話を合わせてみた。
『そうそう。同級生だっていう男の人と最近結婚したんだ』
そうなんだ。それで何を言ってたの?――少しづつ深掘りするように聞き出してみた。
『結婚生活の理想と現実ってやつ~? 大事にしてもらえてる実感がどうとか~?』
それって?――言葉にするなら、一言にするならどんな言葉になるのと思った。
『マリッジブルーってやつだよ。何ナニ? 彼氏と婚約でもしたの?』
はしゃぐ友達を前に、何とはなしに納得して復唱したんだ――マリッジブルー。
それから一人でトイレに行って、鏡の前でまた言葉にした――マリッジブルー。そしたら、ここのところ途絶えていた声が聞こえたんだ。
――ふふふ、未来に得たい生活を手にしたのでしょう? どうして不安がってるのかしら? 理解してはあげられないわね――
それは……思っていた通りじゃないから……じゃなくて、ヨシ君だけじゃ物足りない……違う!
――そうかしら? でもあなたには居るじゃない? 頼りないと思っていた男の子、けれど頼れと言った男の子が、ね――
それって……でもヨシ君に悪いと思うから……
――かもね。でも、あなたが疲弊したら悲しむのも、愛しい男の子よ。だから世話をやける男の子は、今度こそ内緒にするのね――
そんな簡単には……
――いいえ、簡単。絶交もした、転校もした。なら警戒のしようはある?――
お家ではいつも隣に……
――うふふ、今があるじゃない? 今この場にはいないじゃない?――
導きのままに携帯を取り出して、ハル君の連絡先へ指先をのばした。
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