醜いサンタ

徠亜

第1話



サンタといえば……


恰幅のいい体、髭の生えた顔、優しそうな目元

そんなイメージを持つ人も多いだろう


だが、世界に大量にいるサンタがみんなそうとは限らない。

少なくとも俺はそんな綺麗な見た目をしていない


ひょろひょろに痩せている体、髭なんて生えていない顔、鋭い目

子供に好かれるなんて夢のまた夢


「どーせ、俺は子供になんざ好かれないよ」


そう呟きながら人々の家の中にプレゼントを投げ込んでいく


子供なんてとっくに寝静まった午前0時

日付が変わって25日になった時、それが俺の仕事時間


仕事の規律をしっかり守って赤と白の恰好をして白い大きな袋を担ぐ

人に見られないように“魔法の”香水を振りかけるのも忘れずに


「あとざっと100個…」

「この調子だと3時には帰れそうだな」


袋を担ぎ直して夜の闇に消えた








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